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調査内容

万葉の森公園、万葉亭で1300年前の食を学ぶ

最後は1500円の貴族食。
万葉亭_貴族1500円メニュー

万葉亭_貴族1500円万葉食

さらに品数が増え、豪華になりました。1300年も昔にこんな立派なご膳が食べられていたなんて。もちろん口にできたのはごくごく一部の上流貴族でしょうが、現代の食事となんら遜色のないような印象さえ受けます。
万葉植物の揚げ物。

万葉亭_万葉植物の揚げ物

一年中採ることができ、葵の中で唯一食べられる「あふひ」フユアオイや、着物の染料にも使われ、水で色が落ち易いことから「心変わり」や、「儚い命」を表す言葉として万葉和歌に詠みこまれた「月草」ツユクサなど、万葉集では馴染み深い植物の揚げ物です。
左下の黄色い茎のようなものは「こも」と呼ばれるマコモダケという植物。エリンギのようなサクサクとした食感と後に残る花のような甘い風味が特徴的でした。こもに関連する和歌は本当に多く残されており、かのかきのもとのひと

の海の 庭好くあらし かりこもの 乱れづ見ゆ の釣船(巻3-256)

「飼飯の海上も穏やかで、刈り取ったこものようにあちこちから海人たちの釣り船が見える。」と、刈ったこもを「乱れ」を導く枕詞として使った和歌を詠んでいます。

茄子の上に乗っているのは「ひしお」という当時の発酵調味料。

万葉亭_茄子

このひしお、醤油の前身といわれるものなのですが、特有の発酵臭の消し方がなかなかわからなかったそう。しかし万葉集の中にレシピのヒントを見つけたのだとか。

ひしおに ひるき合へて 鯛願ふ 我にな見えそ あつもの(巻16-3829)

ながの忌寸いみきの和歌なのですが、意味は「醤と酢にびるを合わせたものに鯛をつけて食べたい。私に見せるな、菜っ葉の汁物など」という万葉人の食の好みが表れた珍しい歌。これを参考に、醤に刻んだ野蒜をいれてみたところ、発酵臭がみごとに消えたのだそうですよ。食材だけでなくその調理法まで当時を再現しようと、万葉集からヒントを得ていることにこだわりを感じました。

「にぎめ」と呼ばれていたアオノリの酢の物の上には、月草の会の方々が引佐の霧山川の水源地まで赴き、自ら採取されたという「ぬなば」ジュンサイが乗っています。
そして忘れてはいけないのが古代のチーズ、「」。

万葉亭_蘇

小麦粉を練って揚げた唐菓子や、樹齢100年の木から採取したという「かへ」カヤの実と一緒に、ツワブキの葉に乗せて提供されました。
蘇は牛乳を10分の1以下になるまで時間をかけて煮詰めたもの。万葉時代には、これをさらに発酵させた茶色の蘇が食べられていたそうです。
味は濃厚なミルク菓子のよう。甘味料を使っていないにも関わらず、牛乳本来の甘味をすごく強く感じました。個人的にはとっても好きな味。自宅でも作ろうとレシピを伺ったところ1リットルの牛乳を弱火で3時間ほど煮詰めるのだとお聞きして諦めました…。

蘇の歴史も深く、平安時代の政治運営に関する事例を掲げた書「政事要略」には「文武天皇4年(700年)10月、使を遣し蘇を造らしむ」との記述があるほか、815年に嵯峨天皇の命で編纂された古代氏族名鑑「新撰姓氏録」には、大化の改新頃の孝徳天皇の時に、善那使主が牛乳を献上したとの記述があり、どうやら大化の改新以降には作られていたのではないかと考えられているそう。
しかし牛乳を作るのは庶民でも、それを口にできるのはやはり貴族だけ。とても高価な食べ物であったことに間違いはなさそうです。

おなかいっぱい万葉食を頂いた後は、糟湯酒で一服。

万葉亭_糟湯酒

これは下級役人が貴族の飲む酒の搾り糟をお湯に溶かして飲んでいたとされているもの。同じレシピで作ってみたところとても飲めるものではなかったとのことで、万葉亭では甘酒にして提供しているそうですが、当時の下級役人にとっては楽しみの一つだったんだとか。

和歌から、そして食事から、万葉時代の食文化を学んだところで今回の調査は終了です。

結果報告

できるだけ本物を再現しようという月草の会の方のこだわりや、万葉食の詳細をご説明いただき、楽しく学びながら、食事をすることが出来ました。
浜松に全国的にも珍しい万葉食を食べることのできる場所があるということを知らなかった方も多いのではないでしょうか。
万葉文化に興味をもつきっかけとして、ぜひ訪れてみてください。

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万葉の森公園

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