セレクトショップ「Maiden Voyage」ナチュラルで心身共に心地良い”普段着”
公開日:2020/08/24
今年の8月にオープンしたばかりの浜松市中区寺島町にある衣服のセレクトショップ「Maiden Voyage(メイデン ヴォヤージュ)」に行ってきました。
本日は、店長の加茂さんにお話を伺いました。
穏やかな雰囲気が素敵な加茂さん
Maiden Voyageってどんなお店?
─── お店の概要を教えてください。
加茂さん | 今年の8月13日にオープンしました、セレクトショップ 「Maiden Voyage」と言います。基本的には国内外の衣服を専門に取り扱っています。 |
─── 服のセレクトショップなんですね。ということは、店内に並んでいる商品は全て加茂さんが厳選したアイテムなんですか。
加茂さん |
はい。 お店のコンセプトは「心身ともに気持ちいい、心地良い」です。 このコンセプトを軸に仕入れをしています。 |
心身ともに気持ちいい、心地良い とは
─── 心身ともに気持ちいい、心地良い。シンプルが故に解釈を詳しく聞きたいですね。
加茂さん |
身体にとって気持ちよい・心地良い服とは、着ていて楽な服であること。
デザインだけでなく、心地の良い素材を使用していたり、洋服の設計の工夫で着ていて身体の緊張感のないものだったり、そういった身体に優しいつくりの服を取り扱うように心がけています。 心にとって気持ちよい・心地良い服とは、身に付けることで気分が上がったり、日常生活にプラスの風を吹き込んでくれるような服のことですかね。 |
─── 仕入れはどういった形で行っているんですか?
加茂さん |
当店に並んでいるブランドは、元々自分が好きなブランドだったり、前職は大阪の服屋さんで働いていたのですが、そこでたくさんのブランドさんとお話をしていく中で出会ったブランドもあります。 また、半年に一回の買い付けのための展示会では、実際に試着して着心地を確かめたり、メーカーの方にお話を伺ったりして取り扱いを決めています。 |
─── 全部、ご自分で試着しているんですか?
加茂さん |
お店に陳列しているものは一通り全部自分で試着しています。 その中で、自分のいいなと思ったものや、あくまで普段着として生活に馴染むようなものを重視して入れてます。 |
─── 生活に馴染むものか…。浜松のお店ということで、仕入れの際に気をつけていることとかあるんですか?
加茂さん |
浜松に限った話ではなく、各地方によっての習慣がありますよね。 例えば、雨の日に履く靴でも雨の多い地域で重宝されるようなレインブーツは、浜松ですとちょっと重たいですよね。そういった完全防備のレインブーツよりは、晴れの日も雨の日も履けるようなスニーカーの方が気候に合っていたり…。 |
─── なるほど。浜松に住む人の生活に寄り添うような品選びをしているんですね。
加茂さん |
そうですね。 あとは、ロングコートもアイテムとしては必須なので取り揃えているのですが、車移動の文化だから車に乗るのが億劫になってしまう素材や厚すぎるダウンジャケットは敬遠したり… |
実は、浜松出身の加茂さん。
浜松に暮らすということを経験的に理解してくれているのは嬉しいですね。
仕入れのこだわりを教えていただいたところで、早速、店内の商品を紹介いただきました。
お店のラインナップを紹介
HATSKI(ハツキ)
─── 定番のオススメ商品ってありますか?
加茂さん |
「HATSKI」というメーカーのデニムですね。 ブランド名の「HATSKI(ハツキ)」は、八月を表す「葉月」からきているんですよ。デニムのインディゴブルーに、夏の青い空や海の色を連想したところから「HATSKI(ハツキ)」と名前をつけたそうですよ。 |
加茂さん |
2016年の秋冬シーズンに生まれたブランドで、比較的新しいブランドです。 日本の職人さんが日本の生地を使った完全国産品なんですよ。 |
加茂さん |
当店では、4種類の型を取り扱っています。 どの型がいいか迷った場合は、お好みに合わせてご提案させていただくことも可能ですよ。 |
─── 型もそうですが、色の展開も豊富ですね。白いジーンズなんか夏らしくていいですね。
加茂さん |
白って春夏の色というイメージがあると思うのですが、今年の秋冬は白もトレンドになってきますよ。 デニム生地の楽しみ方として、使い込む毎に馴染んでくる生地の色合いも魅力の一つですが、HATSKIさんのデニムは色落ちの自然さも含めて普段着としてなじみがいいんですよ。 |
加茂さん | デニムブランドは数多ありますが、HATSKIの特徴は、まずは形。少し丸みのある形に職人さんが仕上げています。 |
─── 言われてみれば、なんか柔らかい印象。
加茂さん | この丸いシルエットの何がいいのかというと、どんな方が履いても綺麗な可愛らしいシルエットになるんです。 |
─── どんな人が履いても!?(急に食い付くスタッフ)
加茂さん |
はい(笑) 丈感であったり、この絶妙な丸みっていうのが、着用したときの独特な柔らかさやクリーンさを自然と演出してくれるんです。 |
加茂さん |
もう一つの特徴は生地。 触っていただくとわかると思うのですが、結構厚めの生地になってます。 |
─── (生地を触りながら)お、本当だ。見た目はそんな感じしなかったけど、厚い生地ですね。
加茂さん | 15.6オンス(オンス=重量の単位で、生地の厚みを表す場合、1平方ヤードあたりの重量のことを指す)あります。普通のデニムの1.2~1.3倍くらい厚さがあるんですよ。 |
─── 通常より厚めなんですね。
加茂さん |
さらにすごいところは、これだけ厚い生地を使っているのに、柔らかくてちょっとぬめり感のある生地に仕上がっているところ。 HATSKIさんのデニム生地は、古い織機でゆっくりと高密度に編んでいます。ですので、厚いのに柔らかい独特の質感に仕上がっているんですよ。 古い織機なので、織機を扱う職人さんの技術がいるし、メンテナンスもこまめにしなくてはいけなくて、この生地を織るのにすごく手間がかかっているんですよ。 |
加茂さん | 初めて履いた時から柔らかく履けるからストレスがなく、生地が厚い分、耐久性にすごく優れているんです。 |
こだわりのつまったポケット
加茂さん | 細部までの行き渡るこだわりがわかるのはポケット。男性は特にそうなのですが、ここに物を入れるので、よくポケットの角が破れたりするんですよね。 |
─── そうそう!お財布とか携帯とかなんでもポケットにしまいますよね。
加茂さん | ポケットの破損はステッチを強化したりするなどいくつかの方法で防ぐことができるのですが、HATSKIさんはポケットにも本体と同じ厚さの生地を手縫いで縫い付けています。厚い生地なのでそもそも破れにくいし、手縫いなのでかなり丈夫になっています。 |
─── 対処法が真正面からの正攻法ですね。ブランドの姿勢がそこでわかるんですね。
加茂さん |
そうなんです。 仕入れにあたっては、そういったメーカーさんの心意気やストーリーも重要視していますね。 |
MITTAN(ミタン)
加茂さん |
メーカーさんの心意気といえば、京都の「MITTAN(ミタン)」さん。 こちらもうちの定番ブランドとして取り扱っています。 京都にアトリエがあって、国内外の民族服をベースにしてものづくりをしているんですが、基本的に「洋服」を作っているという感覚を一切持たれていないんですよ。 |
─── 「洋服」は西洋風の衣服だから、その枠にとらわれない服づくりをしているということですね。もう、その話を聞いただけで衣服というものに真剣に向き合っているのがわかる。
加茂さん |
民族服がデザインソースになっていますが、素材使いが絶妙なバランスで、日常着としてすんなり馴染むんですよ。 MITTANさんの服の素材は、基本的に国内外の天然繊維しか使用していません。 こちらのシャツの糸とかボタンも全て天然のものですよ。 |
─── ボタンも!?
加茂さん | ボタンはラクダの骨を使ってます。そういった素材選びにこだわることで、着心地やその服を纏ったときの雰囲気に差が出てきたりするんですよ。 |
自然な風合い
加茂さん |
僕が、MITTANさんのいいなと思うところは、「長く使って欲しい」という想いをすごく感じるところ。修繕や染め直しにも対応してくれるんです。 ステッチやボタンの修繕、穴あきなどの対応はもちろん、この生成りのシャツを黒に染めたいと思ったら相談に応じて染めてくれるんですよ。 着古しても修繕で何度でも蘇る、そして、修繕のオーダーによっては、全く違う服になって帰ってくるんです。 |
─── そこまでやってくれるところがあるんだ!すごい!
加茂さん |
僕は、この心意気をすごく素晴らしいと思っていて、浜松はものづくりの街ですので、そういった心意気に共感してくださる方もいるんじゃないかなと思っています。 お店の品は決して価格の安いものではないんですが、その価格の価値に見合った優れた品質のものを生み出す心意気のあるメーカーさんの製品を取り揃えています。 |
KaILI(カイリ)
加茂さん | こちらは、KaILIというブランドのバックで、着物の袖に着想を得ています。ショルダーと手持ちの2wayになっています。通常のカバンのように真上に取り出し口はないですが、脇にチャックがついていたりして意外と使いやすいですよ。和のデザインも取り入れつつ、洋の雰囲気もあるのでどんなテイストのスタイルにも自然にマッチします。 |
KaILI『UTOU US』
SAINT JAMES(セントジェームス)
加茂さん | SAINT JAMESというブランドは、フランスの国宝企業と認定されています。アパレルで唯一認定されているんですよ。 |
加茂さん |
このシャツはバスクシャツといってフランスの船乗りさんの作業着が元になっています。マリンで爽やかなボーダーが定番のラインナップになってます。 素材はコットン100%で、とても丈夫です。僕の持っているシャツは5、6年は着続けていますよ。 |
加茂さん | 最近は無地のタイプが人気が高いですよ。 |
─── サイズ幅がありますね、これは男女兼用?
加茂さん |
当店に置いてあるものは基本的にはユニセックスです。 この時代の洋服のあり方ってメーカーさんも悩まれていること多いと思うのですが、女性服・男性服の概念ってどうなのかなと思うところもあって。 時代に合わせて考え方を少し広げてもいいのかなと。 |
─── ユニセックスか。あまり接する機会がないのでサイズ感難しいかも。
加茂さん |
女性がゆるく着こなして雰囲気がいいものも置いてます。 どんな方が来店されても、ご提案できる服を選んでいますので、女性の方も、もちろん男性の方も、年齢問わずお待ちしています。 |
加茂さん | こちらのムーンスターはどちらかというと女性の方に人気ですよ。 |
MOONSTAR (ムーンスター)
MOONSTAR『ALWEATHER』
加茂さん | 先ほどお話しした、晴れの日も雨の日も履けるようなスニーカーです。 |
─── ラバーの部分が広い!雨が降った後のぬかるんだ所もへっちゃらって感じですね。
MOONSTAR『GYM CLASSIC』
halo commodity(ハロ・コモディティー)
halo commodity『Smooth Banner Cap』
─── 帽子もありますね。(手に持ってみる)うわ!軽い!!
加茂さん |
形がいいんですよね。 クシャクシャと丸めてカバンにも入れられて、雨風汚れにも強いので日常使いがすごくしやすくて。コーディネイトの外しの要素で取り入れてもらえるといいんじゃないかなと。お値段も5000円ほどでそんなお高くないので手に取りやすいと思います。 |
大人の休日にふさわしい ジャズの流れる居心地の良い空間
─── 店内がすごくおしゃれですよね。お店づくりでこだわった点を教えてください。
加茂さん |
「心身ともに心地の良い場所」を目指しました。 心身ともに心地の良い場所ってどんなところかなと考えた時に、自分としては「人と人とのコミュニケーションのある場所」「いるだけで落ち着ける空間」なのかなと。 |
─── 「心身ともに心地の良い」は洋服でもおっしゃっていましたね。お店のコンセプトを音楽や空間でも表現しているんですね。
加茂さん |
はい。具体的には、リラックスできる音楽としてジャズを流しています。 そして、店内を見ながらくつろいで欲しいので珈琲や紅茶のご提供もしています。 大人が休日にふらっと来て心地いい空間を演出できたら、と考えています。 |
─── 数ある音楽の中でジャズを選ばれたのは理由があるんですか。
加茂さん |
僕は、学生の頃からジャズレコードが好きでよく聴いていたんです。 ジャズはいろんな音楽の原点と言われていて、すごく懐の深い音楽だなと。 と言っても、ミーハーで聴いているだけなので、深く語れるほどではないんですけどね(笑) |
─── 懐の深い音楽かあ。ジャズは確かに大人のゆったりとした余裕を感じるジャンルですね。
加茂さん |
ロックとかポップスと比べてゆったりと時が流れるといいますか、音楽の流れている場の空気ってあるじゃないですか。 洋服をゆっくり見たり、珈琲を楽しみながら会話を楽しんだり… お店の雰囲気全体を含めてみても、バランスの取れる音楽が自分にとってはジャズだったんです。 |
─── 先ほど珈琲と紅茶のお話が出ましたが、カフェのお話もお伺いしたいです。
加茂さん | お店の中では、余裕のある時間を過ごしてもらいたいのでドリンクも提供できるようにしています。個人でやっている洋服屋さんってすごく入りづらくないですか? |
─── 入りづらいです(笑)服を買わないといけないんじゃないか、とか、陳列してあるものが高くて買えなかったらどうしようとか、いろんな不安が頭を駆け巡りますね。
加茂さん | 僕もそう感じていたので、入りやすいお店づくりを考えてカフェメニューを取り入れたという側面もあります。 |
─── 珈琲だけ飲みに行く、でもいいんですか?
加茂さん | 全然大丈夫ですよ。どんなお店なのかなと店内をのぞいていくだけでも構いません。お金を頂戴して飲み物を提供するので、ドリンクの仕入れもこだわりを持っていますよ。 |
加茂さん |
少しお時間はいただいてしまうんですが、珈琲はハンドドリップで入れたてをご提供します。 神戸の阪急六甲駅の六珈さんという自家焙煎の喫茶店があるのですが、そこのお店の自家焙煎の深煎り豆を使っています。 珈琲好きでして、六珈さんの珈琲は昔から飲んでいてオススメなんです。 紅茶も専門店から取り寄せており、ポットで抽出してお出しします。 |
窓際のステップはくつろぎのスペース。ゆっくり腰掛けドリンク片手に店内を見渡すことができる
洋服にのめり込むきっかけ
店長の加茂さんは浜松出身。
大阪の大学に進学し、ファッションの世界にのめり込んでいくきっかけに出会ったそうです。
─── お店を出すきっかけや経緯をお聞かせください。
加茂さん | 大学時代は大阪にいたのですが、休暇に梅田の中崎町の古着屋さんのお店に行き出したのが最初のきっかけです。まず古着から洋服にどっぷりハマっていったんです。通っていたお店のオーナーさんやスタッフさんの人柄や、洋服を通じての会話がとても楽しくて、この業界のお仕事にも興味を持ち始めたんです。 |
この体験をきっかけとして、在学中にアパレルでアルバイトを経験。
大学卒業後に化粧品メーカーに就職した加茂さん。
そこで、ものづくりのサイクルや企画製造販売の基礎を学び、大学時代から胸に秘めていた「自分のお店を持つ」夢のために大阪の洋服屋さんに転職。
大阪で洋服屋さんで修行の後、浜松にUターンしてから二年かけてようやく、浜松でのオープンに漕ぎ着けました。
都心で話題になりつつあるヨーロッパ古着 写真はフレンチチャイナ
加茂さん |
ヨーロッパの古着も取り扱っています。ヨーロッパ古着は東京や大阪などでも注目されつつありますよ。 こちらは「フレンチチャイナ」っていいます。 自分が古着からこの世界に入ったので、商品たちのベースに古着は置いておきたいんですよ。 |
─── 古着が好きなのは今でも変わりないんですね。
話は変わりますが、店名の「Maiden Voyage(メイデン ヴォヤージュ)」はジャズのアルバム名だそうですね。
加茂さん |
ハービー・ハンコックというジャズ・ピアニストのアルバム名から拝借しました。 1960年代後半にリリースされたアルバムなんですが、もう成熟しきったと言われて煮詰まっていたアメリカ・ジャズ・シーンで、このアルバムはジャズの新しいスタイルを見せつけた、新たな風を吹き込んだと言われている名盤なんです。 |
加茂さん |
もし、自分がもしお店を持つのであれば、地域の方や洋服業界セレクトショップの中で新しい風を吹き込めるようなそんなお店を目指したいと思って名付けました。
「Maiden Voyage(メイデン ヴォヤージュ)」は新しく造られた船の最初の航海という意味。 お客様にとっても当店が、人生という航海の途中で立ち寄る、ひとときのオアシスになればという意味合いもあります。 |
─── 今後の展望を教えてください。
加茂さん | 常にやっていきたいと考えているのは、新しいブランドや商品など常に新しいご提案ができるようにしていくこと。その時々の世の中の流れや季節の需要、お客さんの要望を加味しながら、新しい発見をお客様に提案していきたいです。 |
加茂さん | あとは、入り口のスペースが広いので何か催しができればなと。もう少し新型コロナウイルス感染症が落ち着いてからになるかと思いますが、ブランドさんや浜松のお店やメーカーさん、ものづくりされている方と何かイベントを企画して、地域を巻き込んでの取り組みをしていけたらと考えています。 |
─── 最後にこの記事を読んでいる方へメッセージお願いします。
加茂さん |
読んでいただき、ありがとうございます。 ご来店いただいて自由な時間を過ごしていただければと思います。 珈琲一杯だけでも、店内を覗いてみるだけでも、気兼ねなくご来店いただけたら嬉しいです。 お話ししながら、少しでも生活にプラスになるような時間をご提供できたらなと思っていますので、お気軽にお越しください! |
すごく居心地の良い店内で、ショッピングしながらリフレッシュするのにオススメな当店。
店長の加茂さんのお人柄も穏やかで、服にまつわるお話も面白くあっという間に時間が過ぎていました。
ユニセックスの服を取り扱うお店なので、デートにもオススメです。
店舗の裏に駐車場5台分完備
この記事を書いた人
- 猫と一緒に暮らし始め、猫アレルギー疑惑が払拭されました。猫の毛ってすごい空中に舞いますね。ふわふわ。
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