浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡
コラボ企画

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡

浜松市中区浜松市南区

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2021年ホワイトデーに富士山上空で目撃された大きな流れ星。
びっくりするほど明るく、ゆっくりと流れたのでSNSでも話題になりましたよね。
人々の視線を集めた流れ星はその後、隕石として海に落下したのではないかといわれています。

海に落下してしまうと私たちの前に再びその姿を現すことがありませんが、ここ浜松にはその昔地上に落下した隕石が存在します。

浜松に落ちた隕石「笹ケ瀬隕石」を見に行こう

江戸時代に浜松市内に落下した「笹ケ瀬隕石」が浜松科学館に展示されているということで、さっそく隕石を拝みに行ってきました。

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今回は天文チームの小栗さんにお話しを伺いました

―――浜松科学館には何度か行っているけど、「笹ケ瀬隕石」を見かけたことがないです。どこに展示してるんですか?

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ここでーすと案内されたのは3階のプラネタリウムのフロアの隅

―――おお、隅っこにひっそりと置いてある。プラネタリウムの待ち時間に見るのにちょうどいいですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 宇宙からのものが浜松に落ちてきたということに特別感があるのか、笹ケ瀬隕石に注目する方は多いですよ。
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笹ケ瀬隕石

江戸時代に浜松市東区笹ケ瀬町にある増福寺西南の畑に落下したという笹ケ瀬隕石。
長い間「玉薬師如来」として増福寺の宝とされてきた隕石は、1955(昭和30)年に静岡県天然記念物に指定。

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大きさは直径8.6センチ、重さ695グラム

―――隕石ってもっと大きなイメージだけど思ったより小さいなぁ。そういえばリニューアル前の科学館のロゴって隕石じゃなかったですっけ?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん あれはハレー彗星をイメージしたマークなんですよ。

実は小栗さんはリニューアル前の浜松科学館時代からお勤め、当時のことも詳しいスタッフです。
昔の資料にありますよと出してきてくださったのは懐かしのロゴマーク。

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このマークは隕石ではなくハレー彗星なのだと

―――懐かし~。このマークはハレー彗星だったんですか。 でもやっぱり隕石っぽい(笑) あれ?そもそも隕石って彗星とどう違うのか分かってないかも。流れ星とも違うもの?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 流れ星」自体は宇宙に浮かんでいる1センチにも満たないようなとても小さな塵みたいなもの。それが地球の大気に突っ込んでくると大気とぶつかって激しく発光します。塵よりも大きいサイズのものだと発光具合がさらに強くなるので「火球」と呼ばれ、それが燃え尽きずに地球まで落ちた来たのが「隕石」ですね。

―――火球が落っこちたのが隕石なのか。そういえば、富士山上空で目撃されたのは火球って呼ばれてましたね。笹ケ瀬隕石も火球が燃え尽きずに地球まで落ちたものなのか。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 彗星っていうのは別物で、すごく大きい「汚れた雪玉」って表現されるんですけど。塵とかをいっぱい閉じ込めた氷の玉みたいなのが太陽系の外側から飛んできて、太陽に近づくとその氷が蒸発してはじめてそれが尾になって見えます。蒸発する際に輝いて見えるんですよ。

―――えー、汚れた雪玉だったんですか。彗星って光ってると思ってました。イメージとだいぶ違うなぁ。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん ハレー彗星は約75~76年ごとに日本に近づくんですけど、浜松科学館はハレー彗星が地球に最接近した1986年に設立されたんです。

―――当時ハレー彗星が世間で注目されてたのが伺えますね。ハレー彗星が最も近づく1986年に、ハレー彗星を掲げてオープンするのを狙っていたかのかな(笑)

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん そういう意図があったのかは定かでないですけどね(笑)
「笹ケ瀬隕石」の落下年を特定したのが市民愛好家だったり、浜松のアマチュア天文家が「池谷・関彗星」を発見したり、浜松って天文愛好家の活動が盛んだったみたいですよ。

―――そうなんですか、知らなかったです。天文台の人ならきっと詳しいだろうから聞いてみようっと。

浜松市天文台へ行ってきた

ということで、みらいーらの小栗さんと一緒に浜松市南区福島町にある天文台へ行ってきました。

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この日はあいにくの曇り空

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浜松市の天文台は五島協働センターの3階。

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天文台ってこんなところ

浜松市民であることウン十年、実はわたくし天文台を訪れたのははじめて。
まずは天文台の職員、鈴木さんに施設を案内していただきました。

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鈴木さん、よろしくおねがいします

天文台の鈴木さんはなんと現役の小学校の先生。
今回知って驚いたのですが、天文台の職員は現役の教員が数年ごとに交代で担当しているそうです。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん そうなんです、小学校の先生です。
今日は私よりさらに天文台に詳しい開台当時からのボランティアスタッフ、齋藤さん・八木さんと一緒にご案内しますね。
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八木さん(お隣の齋藤さんは恥ずかしいとのことでシルエットのみ)

―――開台当時から天文台に関わっている方ですか、それはもう何でもご存じで。よろしくお願いします。

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天文台の職員は鈴木さんを含めて3人だけ。
齋藤さんや八木さんも加入している、星と天文台をこよなく愛する「浜松市天文台事業協力者の会(ボランティア)」によって施設が運営されています。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 協力者の方には、天文台で開催する観望会ごとにボランティアで来ていただいています。

天文台って市民との関わりが深いんですね。
さてさて、それではさっそく天文台ツアーにレッツゴー。

展示ホール

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まずは3階に上がってすぐのフロアに広がる展示ホール。

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隕石の展示もある

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電光月面案内板

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん こちらにある展示の多くは協力者の方が作ってくださったものです。電光月面案内板もそうですね。

―――おお、スイッチを押すとクレーターや山脈、宇宙船が着陸したところが点灯するんですね。とても手作りには見えないクオリティ。他にも手作りのものがあるんですか?

「あの地球もそうです」と鈴木さんが指さしたのは、たしかに地球。

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階段から来るとフロアの入口すぐあるカーテンがついた地球

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん この地球は(浜松科学館の前身だった)児童会館に置いてあった模型でね。児童会館を解体する際にもらって、プラネタリウムを作る名人にお願いして作ってもらったよ。

―――この地球はプラネタリウムなのか!

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プラネタリウム担当はやはり気になるであろう

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 床にフットセンサーがあるから膝をつくとスイッチが入って星が見えるよ。今は季節はずれだけど東側見るとオリオン座がある12月頃の空。天の川も出てくるよ。

しっかりとカーテンを閉めて暗くすると1人用のプラネタリウム空間ができあがり。
これはなかなか贅沢ですね。

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この望遠鏡は協力者の方からの寄付

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん これはぜひ見てもらいたいです!たぶん国内最高峰ですよ。
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鈴木さんイチオシ

最近導入されたばかりというこちらのマシンも協力者の方の手作り。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 双眼鏡って普通は手で持つか三脚に据えるしかないんですけど、これは座って好きな方に向きを変えたり、双眼鏡を好きな位置に固定したりできるんです。

さっそく小栗さんが試乗。

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すいすいと軽快に座席がスライドする

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん これいいな、ベランダに置きたいですよね。めっちゃ楽しいし、ラクチン。
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双眼鏡は重りでバランスをとっているので、ココと決めて手を放したら位置がしっかり固定されていて下がってこない優れもの。

―――これは観望会で利用するんですか? 快適すぎて1人でずっと使いたくなっちゃいそうですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 天気がよければ出そうかなと思ってます。
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これはラクチンだ~

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お、小栗さーーーーん

図書コーナー

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浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん こちらは図書室です。
ニュートンとか月刊天文、天文ガイド、理科年表が創刊時からずっとあります。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん え、すごっ! 天文ガイド、ニュートンもいいですね。うわ、星ナビもある。これなんて昭和31年の理科年表ですよ。
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昭和31年の理科年表を見つけて興奮する小栗さん

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 天文関係の本は雑誌含めて県内では1番所蔵してると思うよ。
今はもうない、ここにしかない資料もあるよ。
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並びきらないので本は倉庫にも保管されています

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―――図書室の本は借りられるんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 残念ながら貸出はしていないのでここだけになります。図書室での閲覧でしたらどなたでも可能ですよ。ここにしかない資料を求めて県外から来る方もたまにいらっしゃいます。
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貴重な天文の本が図書室で読める

屋上・天体ドーム

天文台といえばやはり天体ドームですよね。

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いよいよ屋上へ

少しでも雨が降っていたら開けられないドーム。
この日は小雨が降ったりして心配でしたが、雨が止んだので無事ドームを開けていただけることに。さっそく観測室にお邪魔します。

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いざ、ドームがオープン

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おぉおおお、開いたー!カッコイイ

圧倒的メカ感。
天体望遠鏡なんですが戦隊モノのワンシーンを見ているかのようです。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 古い望遠鏡はデジタルではなかったんですけどね、今は自動でコンピュータで星の位置を出しますからね。

―――このドームは回転するんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 望遠鏡が動くとドームが同期して動くようになっているからね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん じゃあ、望遠鏡を動かしてみようかな。
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何やらパソコンを操作する鈴木さん

―――この星が見たいと指示すると動くんですか? 望遠鏡に連動した専門ソフトとかで?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん この望遠鏡を作った中央光学が開発した「New Star Pilot」というソフトで指示を出しています。あとは小栗さんもよく使っているステラナゲータとも連動させています。指示するとそっちの方を向くんですけど、今日は曇っているので見えないかな。
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New Star Pilotとステラナビゲータ

―――ステラナビゲータは天文界でおなじみのソフトなんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 私も使ってます。画面上に見えるプラネタリウムというか、星空のシミュレーションですね。年月日と場所を指定するとその時の空が再現されるんですよ。

―――ステラナビゲータで星の場所を確認して、New Star Pilot(名前がカッコイイ)で指示を出すのか。

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動き出す望遠鏡

動きはじめだけドームからメキメキと音がしますが、あとはびっくりするくらい静か。
そして突然流れるキラキラ星の曲。

「♪(キラキラヒカル~ オソラノホシヨ~)」

―――あ、望遠鏡が止まるとキラキラ星が流れるのか。星はここだよ~って教えてくれてるんですね。かわいい~。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん (レンズの向いた)この先には月がありますよ。
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望遠鏡を調節する鈴木さん

月に照準を合わせた望遠鏡、鈴木さんがレンズをセットして調節してくださったので覗いてみます。

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いざ、初の天体望遠鏡

―――真っ白です。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 雲ですね。今は雲しか見えないです。

―――残念~。晴れていれば昼間でも星は見えるんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん よく晴れていれば3等星までは見えるよ。
昼間、最大で5等星までも見えたかな。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 3等星は明るい星。
3等星よりは5等星の方が明るさは弱いです。

―――どのくらい遠くまで見れるんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 望遠鏡って遠くを見るというよりも、遠くにある弱い光をどれだけ集めて見えるようにできるかっているイメージかな。
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残念ながら今日は曇りなので望遠鏡を使って出来るクイズをしましょうか、と鈴木さんが今度は双眼鏡をセット。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん クイズこれ何だ。赤い四角は何でしょう?
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なになに?と覗いてみる

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん わかった!イオンだ。めっちゃ近い、すぐそこじゃん(笑)

直線距離で8キロくらいは西にある志都呂のイオンが、まるですぐそこにあるかのように近くに見える不思議体験。一瞬自分の目を疑います。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 30倍の双眼鏡なら距離が30分の1になるから。 倍率ってその分近づいたことになるんです。
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お次はこっちいってみますか、と今度は望遠鏡が登場

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望遠鏡をセットする鈴木さんが完全にスナイパー

―――この望遠鏡カッコイイな。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 小学生用に「めざせ望遠鏡マスター!」で使ってる初心者用の機材ですよ。子どもでもすぐ使えるようになります。この黒い部分がそれぞれ縦と横の向きの操作なんで簡単です。
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左右の手で操作するだけ

それでは、今度は北を向いて「クイズこれ何だ」。
これまた遠くにあるはずの施設が見えてびっくり。

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あんな遠くの施設が見えるのか~

―――あれ、望遠鏡って覗くと景色が逆さまに見えます?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 望遠鏡は逆さまに見えますよ。

そういえば望遠鏡は上下左右が逆さまになるってその昔習ったような気がしなくもないな? というへっぽこな私でも、双眼鏡や望遠鏡は楽しい。

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屋上からは360℃よく見える

―――屋上から周辺の見通しが良いですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 天文台の立地は水平線が見えて、暗くて、南側の惑星が見えることが大事です。ただ設立当時は暗かったんですが、今は体育施設やナイターがあって明るくなってますね。

浜松と天文の深~い?関係

天文台ツアーもひと段落したので、浜松市天文台のあゆみについてお話を伺ってみます。

―――浜松って天文愛好家の活動が盛んだったそうですが。そもそものきっかけは何かあったんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 池谷薫さんが舞阪で発見した「池谷・関彗星」が浜松のアマチュア天文のルーツだね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 浜松というよりも日本全体のルーツ。 近年のアマチュア天文ってものが「池谷・関彗星」によって触発されたっていうかね。池谷さんに続けーって。
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―――アマチュアでも彗星を発見して自分の名前がつけられるって盛り上がったんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 彗星探し自体は以前からあって、本田さんという有名な人もいるんだけど。
池谷さんはさ、我々と一緒で苦学してさ。大学の先生でもないし、もともと天文の基礎があったわけでないし、望遠鏡なんて買えないもんだから自分で磨いて作ったわけよ。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 池谷さんは自分で作った望遠鏡で彗星を発見したんだよ。
最初に彗星を発見したのも若くてね、19歳だったかな。それが「池谷彗星(1963年)」。 3つ目の彗星発見が1965年の「池谷・関彗星」。これがクロイツ群っていって特殊な彗星だったわけ。太陽をかすめて通るの。そうすると尾を長く引く彗星が多くて。はじめは太陽にぶつかるんじゃないかって言われてたね。 池谷・関彗星は、池谷さんと高知の関さんが同時に発見したんだけど、池谷さんの方がほんの5分くらい早かったから名前が先についてるんだ。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 24時間以内に発見した3人までの名前が彗星につけられるんだ。

―――4人目に見つけた人は?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 駄目。早い者勝ち。

―――えぇえええ、4人目の人せつない。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 池谷さんの作った望遠鏡「池谷鏡」というと、もう賜物ですよね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 池谷さんが磨いた望遠鏡の鏡でね、ものすごいよく見える。
私も持っているけどね、もう家宝です。

―――近代日本の天文ブームをけん引したのが「池谷・関彗星」と池谷薫さんなんですね。現在の天文の世界で池谷薫さんの存在は?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 天文アマチュアの神様みたいなもんだね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 楽しい人だけどね。
今は大きい天文台の望遠鏡の鏡を磨いているよ。例えば、京大の赤外線望遠鏡とか。ハワイのすばる望遠鏡の基礎研究用に作ったのとか。このへんではディスカバリーパーク焼津の80cmの望遠鏡の鏡がそうだね。池谷さんの功績は彗星発見も大きいけど、プロの大きい望遠鏡作ったのも大きいような気がするね。

池谷・関彗星からはじまった天文ブームから天文台の設立へ

1960年代、池谷・関彗星の発見を皮切りにみんなが彗星探しをするようになった天文ブームの到来。

―――その頃まだ天文台はなかったですよね?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん だからね、要望書を出したんだ。

当時のことが載っているよと出してくださった資料は「浜松市天文台25年史」。
設立の経緯の一番最初には齋藤さんのお名前が。

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浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 「絵を見るには美術館があるじゃないか、星をみるには天文台を作って市民の皆さんで見よう」ってね。市議会で質問もしてもらったんだけど一度却下されてしまって、そのあと栗原市長になってから、公民館を作るのでその上に作ろうということになったんだ。

―――天文台を新たにイチからつくるのは難しいけど、ってことで今の協働センターにくっついているカタチになったのかな。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 実はここではなく、三方原公民館に天文台を作ろうって案もあったんだ。 三方原からだと市街地が南にあるから夏の星座が見えないからもちろんダメだよね。
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現在は南区の五島協働センターの上

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 天文台ができたら誰が運営するかってなってね。当時、天文の普及活動をしていた先生たちの団体「浜松宇宙と星の会」と俺も所属している「浜松スペースハンタークラブ」で一緒にやろうということになり、浜松宇宙と星の会は解体して「天文協会」を作ったんだ。 浜松スペースハンタークラブは研究や観測が目的の会だったからこれまでのように活動しつつ、有志として何人かが天文協会に入って手伝いをしてくれることになったんだ。

―――公立の天文台施設だけど運営を任されていたのが民間団体の天文協会だったんですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 私が天文協会に入ったのは天文台ができて1ヶ月後。 天文が好きだからもっと学びたくてね。天文台ができたってことは学芸員(天文学者)がいるだろうし、専門的なことを教えてもらえるという気持ちで入ったんだ。そうしたらアマチュアの集まりだった。入って早々に天文教室の講師を担当することにもなるしね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 当時は仙台の天文台が活発で、事業の参考にしてたんだけど、仙台には天文台長や学者がいたんだよね。浜松はアマチュアの素人の集まり。天文教室の講師になるのも入ったばっかりの人。展示物もみんな手作りってね。

―――なかなかすごい運営だったんですね。天文協会というのは現在の天文台事業協力者の会とは違うんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 天文台の管理運営は天文協会に委託されていたんだけどね。年月が経ってから、市の施設だからこれからは市役所が天文台が運営するってなってね。 でも、天文協会でこれまでやっていた活動が全てなくなってしまうのは悲しいから、今後は会として活動しようということで新たに作ったのが現在の「天文台事業協力者の会(平成15年設立)」なんだ。

浜松市天文台の歴史に残るできごと

―――設立から現在まで紆余曲折があったようですが、これまでの天文台の歴史の中でこれはビッグイベントだったなってできごとはありますか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 昔はちょっとした天文イベントのときにはもう屋上いっぱい人だらけ。1986年のハレー彗星の時は玄関まで人がつながってたね。
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1986年の広報はままつに盛り上がりを見せた記録が残っています

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 天文台(天文協会主催)でやって大騒ぎになって1000人くらい集まったのが「さよならハレー」。ちょうどハレー彗星が去っていく際にダブル天体ショーで皆既月食があったの。満月だけど暗くなるからその時に最後のハレーを見ようってね。2000人くらい集まったのは2001年の「しし座流星群」かな。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 俺にとっては1994年のSL9がこの天文台の最高のできごとだったな。SL9ってシューメーカー・レヴィ第9彗星っていってね、十いくつかに分裂していたのが木星にぶつかるとニュースになったもんで観望会を開いたんだ。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん あれはおもしろかった。専門家は衝突しても痕跡として見えないって言っていたの。だから市ではできないから天文協会で開催したんだよ。
ただ専門家が見えないって言っているから我々も見えないだろうなと思ってたわけ。そうしたら当日、参加者の小学生が「おじさん、あそこに黒いシミみたいなのがあるけどなんでしょう」って。「いや、それはレンズのゴミじゃないか」って見たら、見えるじゃん!
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 世界中が見えないと思ってたから「ええ、これ何っ!!」て大騒ぎ。
常日頃言ってるんだけどね「天文現象は、見えないって言っても見えるかもしれないよ」って、でも自分がやっちゃってたよ。
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SL9が木星に衝突した痕跡

この日の観望会をビデオで撮影していたため、その映像が全国ニュースで放映されました。
列をなして毎日ぶつかっていくSL9をひとめ見ようと、翌日 天文台に訪れたのは800人越えの見学者。そこから1週間は連日数百人の見学者がつめかけたそうです。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 梅雨で天気悪かったから、浜松の天文台と四国の天文台だけが最初に見ていたの。それで一般に観望会を開いていたのは浜松だけだったんだよ。だから浜松市天文台は一躍有名になったね。

天文協会だからこそできたこと

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん SL9もそうだけど、よそでやっていない観望会を浜松ではやるようにしていて。例えば火星の大接近、夜中の12時に火星が真南に来た時が一番大接近するタイミングなの。官営の天文台だとそんな遅い時間にできないけど、浜松は天文協会で夜中に観望会をやろうじゃないかってね。そうしたら前回の火星大接近の時に、ネットで調べて関東からわざわざ泊まり込みで星を見に来た方がいて。「こんなに遅くまで観望会やってくれているのは浜松しかない」って言ってくれてこっちも感激だったね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 他にも、仙台みたいに立派な施設でないから、来てもらうんじゃなくて出張しようって天文協会で移動天文教室をはじめたりね。今では天文台にも立派な移動天文車があって、天文台職員による移動天文教室も開催しているけどね。

―――当時、天文協会があったからこそ他の場所ではできないような観望会を開催できて、天文台を盛り上げていたんですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 浜松の天文台に専門家がいない、だからオンリーワンでいこうじゃないかって。泥臭くてもいいから、ここでできることは何でもやろうと。市ができないってことも当時は天文協会、今は協力者の会、それ以上に「浜松 星を見る会」がやろうって活動してるね。
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―――「浜松 星を見る会」っていうのは?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 私が代表をしている団体でね。はじめて11年くらい。軸足は天文台に置いているんだけど、天文協会がやらなくなったことを引き継いでやってる感じ。天文台でできないことをどんどんやろうってコンセプトで活動してるよ。

浜松の天文愛好家たちの今

八木さんと齋藤さんが所属する天文愛好グループの活動についてそれぞれ伺いました。

浜松星を見る会は普及活動に尽力

―――八木さんが代表をつとめる「浜松 星を見る会」では天文台の協力以外にどんな活動をされているんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 例えば、ガーデンパークで毎月観望会をやっていますよ。星を見る会ではじめたから天文台も年に1回、8月にはスターウィークイベントとして開催するようになったね。あとは浜松市以外だったり、企業等に招かれてイベントをすることもありますよ。「法多山の星満夜」はもう12年になるかな、あそこは善男善女が多いから天気の確率が良いんだ。みんな楽しいって言ってくれてたくさん人が集まるよ。

―――星満夜ならランタン飛ばしに私たちも行きましたよ。観望会が同じ時間帯に開催されていて気になってました。あの星空観望会も星を見る会だったんですね!

他にも、星を見る会では観望会を多数開催
  • ・ガーデンパーク 毎月
  • ・石人の星公園 毎月
  • ・竜洋キャンプ場 毎月
  • ・はるの山の楽校 毎月
  • ・法多山「星満夜」 年1回
  • その他にも一般向けの観望会など活動はさまざま

―――観望会の会場にある「はるの山の楽校」って聞いたことない施設です。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 春野町にあってね、昔は県立山の村と言って、かわな野外活動センターと同じで林間学校だった施設だよ。そのあとNPOはるの山の楽校が運営してたんだけど閉めちゃうことになってね、施設が変わってもまた使えるように今話を進めてるんだけどね。
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後日訪れて はるの山の村を撮ってきた

※2021年4月~施設は休業中。星を見る会の観望会は引き続き開催予定。

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この施設内にあるのが天文ドーム「はるのドーム」

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん はるのドームにもともとあった望遠鏡は取っ払って、元天文協会員が持っていた天文写真用の望遠鏡を設置してね、今は「春野天体観測所」と天体写真をやっている「遠州天体写真愛好会」が使ってるよ。
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こんな大型望遠鏡まである

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 星を見る会の会員が山の村で使ってくれっていう望遠鏡を持ってきてね、これを駐車場にひっぱりだして使ってるよ。ものすごい優秀な望遠鏡だからよく見えるよ。

―――これが私物ということにも驚きです。春野町の山の奥だから真っ暗で星が見やすそう。星を見る会に参加するとこういった場所での観望会にも参加できるんですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 最近は西部だけじゃなく焼津の人たちとも仲良くして、普及活動で静岡を日本一にしようって力を入れてますよ。
「星のソムリエ」のひとたちが活躍していてね。浜松でも星のソムリエが増えて、星を見る会や天文台の協力者の会の後継者ができてほしいね。ぜひ若い人に興味を持ってもらってね、星を見る仲間を増やして盛り上げたいよね。

―――星を見る会は、星空を見る楽しさを普及する活動をメインにしているんですね。毎週どこかで観望会が開催されていてその活発さにびっくりしました。天文台以外に天文台ドームがあることも知らなかったです。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 天文ドームなら他に、かわな野外活動センターと水窪にもあるよ。
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水窪町文化会館にも天体ドームがあった

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観望会に参加すると天文ドームを利用できる

―――水窪町は文化会館にドームがくっついているんですね。たしかにこのあたりも夜は暗くなりそうだからよく見えそう。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん 浜松市内で星を見るなら水窪の家老平が一番オススメだよ。
山住神社の1キロくらい北にある、昔はかもしかのミュージアムがあった場所だね。

―――おお、浜松イチの星空スポット情報をゲットしちゃいました。

八木さんが代表をつとめる星を見る会のHPはこちら
浜松 星を見る会
http://chocobrown.sakura.ne.jp/b-sky/hosimi/yotei.html

一流の写真家揃いと八木さんも絶賛する遠州天体写真愛好会のHPはこちら
遠州天体写真愛好会「星空浪漫」
http://hoshizoraroman.web.fc2.com/

浜松スペースハンタークラブといえば笹ケ瀬隕石

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天文台に笹ケ瀬隕石のレプリカがあった

―――「笹ケ瀬隕石の落下は1704年」って、でかでかと載った新聞がありますね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 笹ケ瀬隕石って江戸時代に落ちてきて増福寺に安置されていたんですが、落下年がずっとあやふやだったんですよね。その落下年を1704年と確定させる調査に活躍したのが天文愛好家の市民団体「浜松スペースハンタークラブ」なんですよ。

落下年を特定した天文愛好家団体が、本日 天文台を案内してくださっている齋藤さんも所属している「浜松スペースハンタークラブ」。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 笹ケ瀬隕石を調査していたのは会員の村井さんと小和田さんだから、俺はそんなにやってないけどね。
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笹ケ瀬隕石が落下した増福寺の西南(実際にはもう少し南に落下)

浜松スペースハンタークラブのメンバーが隕石の落下年を特定したのは、地道な調査。
隕石落下地点から半径200kmほどが目撃可能なエリアだろうと推測し、古文書の発掘に努めたそうです。 200kmって軽く言ってますが福井県まで行っちゃいますからね。恐ろしい調査範囲の広さですよ。

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40年以上に渡る調査で落下年の決め手となったのは市内図書館にあった郷土資料

40年以上に渡る調査を経て、2014年に発見した落下年特定の決め手となった資料は、引佐町の一帯を領地としていた旗本に仕える山奉行が記した「宮田日記」。なんとお膝元の市内図書館にあったそうです。

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宮田日記16ページ 右から5行目に笹ケ瀬隕石についての記述が

元禄十七年申正月十二日 玉落なる中郡の内恒武村寺の内え何供しれぬ石供金供見分ならぬ五貫目程成玉の様成物落申候沙汰なり」

「1704(元禄17)年正月12日(現代の暦で2月16日)、玉が落ち音が鳴った。中郡の恒武村の寺へ、石とも金属ともえたいのしれない5貫目(19キロ弱)ほどのものが落ちてきたようだ」

その他にも同じ日付に玉が落ちた出来事が書かれた書物はありましたが、宮田日記は宝永地震や富士山噴火など同時代の出来事の発生日が正確に記されており信頼性が高いと判断されたそうです。

―――いやー、300年以上前の出来事を当時の書物から探し出して突き止めるってすごいですよね。
ところで5貫目って19キロくらいだけど、展示している笹ケ瀬隕石は695グラムですよね? だいぶ小さくなりましたね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 元の大きさは忘れたけど、かなり大きかったことは大きかったね。増福寺が火事にあったり、子どもたちが砲丸投げしたりでだんだん小さくなったんだ。倍くらいはあっただろうけど、19キロもあったの?
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天文台の展示資料にもあった浜松スペースハンタークラブが出した笹ケ瀬隕石資料集で調べてみた

※笹ケ瀬隕石資料集は『宮田日記』発見以前に浜松スペースハンタークラブがまとめたもの

―――この笹ケ瀬隕石資料集を見てみたら、『旅籠町平右衛門記録』に三百拾六匁(1,185グラム)と重さが書かれていたようですね。でも、もし『宮田日記』の言うように19キロもあった隕石だったらすごい衝撃ですよね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん たしかに、今の695グラムの笹ケ瀬隕石なら、以前マンションに落ちた習志野隕石と似たイメージで畑にめりこむくらいだろうけど、19キロかぁ。この笹ケ瀬隕隕石資料集『玉薬師如来出生記』に「空中震動雷の様な響きがして天地も崩れるかと思われた」ってあって、昔ロシアに落ちた隕石のイメージに似てるのかなって思っちゃった。それが落ちた時は辺り一帯ガラスやら何やら全部割れてましたね。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 大きい隕石だと雷みたいな音がするって言うね。 落ちてくる隕石には遭遇したことないな。火球は二度ばかし見たけど。空中でバーンと音がして分裂したりするの。

―――なるほど、結構衝撃が大きいイメージだったのかな。

果たして笹ケ瀬隕石は19キロあったのか!? は定かではありませんが、こうやって実際に浜松スペースハンタークラブの会員が資料を探しては調査していたのだろうなとちょっぴり軌跡を追った気分です。

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調査ではこんな再現までされていた

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 隕石探しはおもしろいよ。今も探してる。
隕石と普通の石の違い?ひとめ目見たら分かるよ~。

―――ひと目見たら隕石なのか普通の石なのか分かるんですか! じゃあ、隕石かどうか気になる石を発見したら天文台に駆け込んで齋藤さんを指名しないとですね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 齋藤さん 浜松スペースハンタークラブは今と昔ではメンバーも活動もだいぶ違ってね、昔は遠州地方の星に関することを訪ねて行ったりしたんだ。今はもう専門的すぎて俺入れないもん。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 最近は天文台での活動に参加するのではなく、自分たちの研究をされていますよね。 池谷・関彗星を発見した池谷薫さんを中心にできた会だったこともあり、みなさんトップレベルの研究をしてます。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 八木さん ボランティア活動をしているとどうしても自分たちの研究が疎かになってしまうからね、研究や観測がしたいとか、写真が撮りたいって人はどうしても普及活動との両立は難しいんですよ。

―――ひと言で天文が好きと言っても、観測がしたい人、写真を撮りたい人。八木さんのようにみんなにもっと天文を広めたいなどいろんな活動があるんですね。

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浜松スペースハンタークラブで発行している機関紙

1970(昭和45)年2月10日発行の創刊号から現在に至るまで浜松スペースハンタークラブで発行しているのが機関紙「ほし」。浜松市天文台や浜松市立中央図書館で閲覧ができますよ。ちょっと覗いてみたけど、専門的すぎて素人には暗号のようです。

大人になってから天文と出会ったふたり

それぞれ天文に関わるお仕事をしているおふたりに天文との出会いを伺ってみました。

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「うえちゃんのポーズしとこうか」と、おちゃめな小栗さん

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 浜松科学館に勤めるようになって20年弱かな。最初はサイエンスショーと両方担当してましたね。途中からプラネタリウム1本になって、それからはずっとプラネタリウムの解説をしています。

リニューアル前の浜松科学館時代からお勤めの小栗さん、当時のプラネタリウムの写真を見せてくださいました。

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リニューアル前のプラネタリウム

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん リニューアル前は現在とは座席とプラネタリウムの機械が違いますね。
今はどこのプラネタリウムもデジタル制御(自動制御)ですが、昔は全部手動でやってました。星座絵は本体とは別に設置された「星座絵投影機」から映し出していたんです。遮光したガラスに星座絵を描いて、その絵の部分だけ光が透過するようになっている星座絵原板をランプの光で照らして、ドームに映った像を星に合わせて投影するんですよ。
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星座絵が描かれたガラス

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惑星

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 昔はこういうのが一個ずつセットしてあって、番組ごとに何百枚というスライドを入れ替えてました。

―――小栗さんも手動で操作してたんですね。ひとつひとつがかわいい。小栗さんはやっぱり星とか科学が好きでこのお仕事をはじめたんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん どちらかといえば理科はきらいだったなぁ。
科学館自体は子どもの時から知っていて好きな場所だったから、楽しい場所にいる楽しい人になれたらなって気持ちでしたね。入ったら自分の苦手な分野だから猛勉強して、そうしたら「おもしろいじゃん」ってハマったの。

―――小栗さんはとくに何にハマりました?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん ハマったのはもちろんプラネタリウムですね。星自体もおもしろいんですけど、私の場合はどちらかというと機械を動かすのがおもしろかった。昔は顔より大きなフロッピーディスクに書き込んだりしてね。当時のプラネタリウムのプログラミング用のパソコンはOSも入ってない黒い背景に緑の文字がマトリックスみたいに出るのを打ち込むの。文系だったからもちろんプログラミング系もはじめて。でもやってみたら、今でいうマクロを組んで、ボタンを押したらでっかい機械が自分の思い通りに動くわけですよ。すごくないこれって?
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 自分のタイミングで星を映しながら、自分のタイミングで解説をのせていくという一連の流れ、場を作るのがものすごくおもしろくなって。当然それと並行して勉強していくから、星もどんどんおもしろくなる。学生時代に理科嫌いで倦厭していたから、大人になってはじめての経験なんですよね。オリオン座とか夏の大三角形とか小学校で学んだはずなのに一切覚えてなかったから、改めて「おお、三角形じゃん」って。

―――まるで今知った!みたいな新鮮な気持ちで吸収していったんですね。小栗さんがプラネタリウムで好きな部分、力を入れている部分はなんですか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 神話を話すのが好きですね。ギリシャ神話とか日本の神話。知るのも好きなんですけど、ギリシャ神話って普通にそのまま子どもの前で話せない内容が多くて。それをいかに嘘にならないようにオブラードに包んで、まろやかに伝えるかってのが楽しい。もしかしたらそこで文系が生きてるかもしれません。あとそれを感情たっぷりに解説するのがまた楽しい。

―――ギリシャ神話のゼウス(登場人物)って恋多き神様で自由奔放ですよね。そんな人間味の強い逸話も多いギリシャ神話(←オブラードに包んでます)を子どもが聞いても大丈夫なように、でも嘘は言わないようにまろやかに改編するのが楽しいって、小栗さんの楽しみ方が独特でおもしろい!

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毎月発行している「星空案内」の星座絵も描いてるんですよ、と小栗さん

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 浜松科学館のプラネタリウムで投映する星座絵も描いています。

―――あの星座絵も描いてるんですか、すごい! ところで、小栗さんの星の楽しみ方ってどんなですか? ギリシャ神話が好きってことは、もしかして星を見ながら常に神話が浮かんでいたりするのかな。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん とくに難しいことは考えないでふと見上げますね。 みんな普段、星空って特に意識して見るものではないけど、「あ、星」って一度意識すると星空ってジャンルができる。だから星空が見えているだけで随分楽しんでると思うんです。あとはもっと星を楽しむなら星の名前を1個だけ覚える、星座も1個だけ見つけられるようになる。そうするとガラッと変わって広がりますね。

―――まずはひとつ知る。それだけで広がるかもしれないと思うと、天文って一見難しそうでしたが急に親しみやすくなりますね。私みたいな素人はニュースで話題になるような大きな天体ショー以外はさっぱりで。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 今年一番分かりやすい大きい天文イベントなら5月26日の皆既月食ですね。あとは8月にはペルセウス座流星群も今年は好条件かな。ぜひその日は夜空を見上げてみてください。

天文台に入ってはじめて天文と出会った鈴木さん

―――天文台の職員は数年毎に現役の先生が担当するそうですが、選ばれる教員は特別星に興味がある人だったりしますか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 全然そんなことはないですね、年代と理科専攻の人で選ばれるかな。
私の専門は理科と図工。理科といっても好きなのは生物ですね。 だから天文台に来て全く知らないことばかり。協力者の方が教えてくださることがとても新鮮でした。
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天文台ではじめて天文と向き合ったという鈴木さん

―――天文台に来て驚いたことはありますか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 専門職員がいるのではなく浜松にいる一般の方(協力者の会)の得意なことを生かして運営しているところですね。天文講座もやっていただいています。望遠鏡が好き、カメラが好き、星座のお話しが好きなど、それぞれの得意な分野で活躍していますね。

―――普段、観望会に来る方と触れ合ってみて、浜松って星好きな方多いなとかありますか?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 天気が良い観望会の日には100人以上の方がお見えになりますね。
次の世代に伝えようという思いのある方が、中には三世代で参加されたりします。家族連れの方が多いですね。

―――やっぱり家族連れが多いんですか、大人が1人でフラッと行くと浮いちゃうのかな?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 家族連れは多いですけど、カップルだったり、お一人で来る熱心な方も結構いますよ。夜なんで暗いし、みんな空を見ているので全然浮いたりしませんよ。 写真講座なんかはカメラを持った大人の参加が多いですね。毎回大人気で満員御礼です。写真講座の講師も協力者の方で、いろんな雑誌で賞をとっている方なんですよ。
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毎週いろんな講座があります

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 小学校だったら、1年生でだいたいの子が片目で見ることができるようになって。 3年生で太陽、4年生で月や星の動きを学んで、6年生で月の位置や形を習うので、その頃に参加すると理解が深まりますね。

―――おお、小学校の先生っぽい(笑) 授業だけでなく、実際に星を見ると大きな体験となって残りますよね。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 実は今年は天文台が40周年の節目の年。私も今年40歳で同い年なんですよ。 40年の積み重ねっていっぱいあるのでね、振り返りつつ、天文台をアピールする機会にしたいです。
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 鈴木さん 今コロナ禍で、自分の家にいてもできるからと望遠鏡がめちゃめちゃ売れていて天文が盛り上がっているんですよ。興味のある人が増えているのでね、これから多くの方に来ていただきたいし、ぜひ若い方に伝えていきたいです。浜松市天文台のキャッチフレーズは「宇宙へのとびら」、天文の入門施設ですから。
結果報告

今も昔も同じように星空を見上げている人々がいて、江戸時代の天体イベントがそのまま地域の歴史に記録として残り後の世代に伝わるって、すごく壮大。昭和、平成、令和の天体イベントも何百年後の未来の人に当時の浜松の様子と一緒に伝わっていってほしいな。

それにしても、浜松が現代のアマチュア天文のルーツとも言えるとは驚きです。
浜松で発見された彗星。浜松に落ちた隕石。実は今回どちらも知らなかったんですよね(ごめんなさい)。浜松が天文でアツくなっていたとは…。大人になっても知らないことって本当に多い。
八木さんは小学生の頃から天文の本を読んでいた天文ファンだそうですが、小栗さんや鈴木さんが天文に出会ったのは大人になってから。どっぷりハマっている姿を見ると、大人になってから、こんな年になってはじめても遅いかな? いやいや、これこら何かはじめるのに遅いなんてことはないんだな、となんだか前向きな気分になりました。

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水金地火木土天海

天文というと学問のイメージが先行して難しそうでとっつきにくかったのですが、今回にお話しを伺ったらもっと気軽に楽しめるものなんだと、垣根が低くなりました。何といっても天文の楽しみ方が本当に人それぞれ。観測、望遠鏡作り、撮影、プラネタリウム、神話、星座絵、星座占い、隕石探しなど。これをしないと、みたいなものなんてもちろんなくて、天文に対する苦手意識がある人でも、なんだ そうやって楽しめばいいのかとなるんじゃないかな。
天文好き意外は寄りづらいのかなと思っていた天文台も、もっと気軽に行って全然大丈夫な場所でした。大型望遠鏡で白い雲しか見れなかったのでぜひ晴れた日の星空でリベンジしたいです。

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所]

八木さんと齋藤さんが思い出話で盛り上がっていたSL9(シューメーカー・レヴィ第9彗星)って調べてみたら、映画『君の名は。』のティアマト彗星のモデルになってるらしいんですよね。天文を知るとアニメの楽しみ方も増えるのか~なんてね。

おまけ
浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所]

※隕石はイメージです

―――昔の人って、流れ星のことを何だと思っていたんですかね?

浜松と隕石と彗星。天文が地域に刻む軌跡|ハマラボ[ハママツ研究所] 小栗さん 普通に綺麗なものだと思っている説。空にある星が落ちる=不吉なことが起きる説など、いくつかの考え方があります。例えば、天帝が死ぬ予兆なのではとか。起源ははっきりしていないんですが、西洋・キリスト教圏だとおとぎ話な感じで、神様が空のドアをあけて覗き込むときに明かりが漏れるとか。流れ星が見えるってことは、神様が今覗いているから急いで願い事を唱えれば神様の耳に届くかもよって。

―――1番最後の説すてき~。

この記事を書いた人

とり
とり
文鳥を飼っています。

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