みらいーら生き物博士と行く! 佐鳴湖バードウォッチング
公開日:2020/12/15
師走に入って、佐鳴湖は紅葉が見頃?
いえ、鳥が見頃です!
バードウォッチングをはじめるなら「冬」
バードウォッチングはオールシーズン楽しめますが、木々の葉が落ち、鳥たちが見つけやすくなる「冬」こそが実はベストシーズン!
ということで、みらいーら×ハマラボのコラボ企画第二弾「バードウォッチング」開催です。
みらいーらの生き物博士と一緒に佐鳴湖へバードウォッチングに行こう
今回は、浜松科学館の生き物博士こと小粥さんと一緒に佐鳴湖バードウォッチングへ行ってきました。鳥飼いの私としてはペットとはまた違う、野生の鳥について知ることができるということでウキウキです。
生き物博士の小粥さん
ご家族揃って野鳥の会の会員でもある小粥さん。
幼少期から双眼鏡を片手にバードウォッチングをしていた生粋のバードウォッチャーです。これは頼もしい!
―――今回のバードウォッチングの会場は佐鳴湖ということですが、やはり佐鳴湖がオススメなんですか?
小粥さん |
佐鳴湖はすごく初心者向けでオススメ。 起伏がないですし、開けていて見やすいですし、歩きやすいです。山登りもしなくていいので鳥に専念できます。あと、佐鳴湖は鳥の種数もすごく多いですね。 |
―――今日は10時に集合でしたが、最適な時間帯はあるんですか?
小粥さん |
今日みたいに午前中ですね。 遅くなると鳥が身を隠してしまうので。 |
オススメの佐鳴湖の午前中という絶好のシチュエーションでバードウォッチングに臨みます!
バードウォッチングの基本装備「防寒具」「双眼鏡」「野鳥図鑑」
基本装備「防寒具」
冬のバードウォッチングに重要なのは防寒具。
とにかく寒くないように注意です!
佐鳴湖1周する場合、東岸や南岸は樹木が少ないため風が強烈に拭き荒れています。
基本装備「野鳥図鑑」
バードウォッチング初心者のハマラボスタッフに小粥さんがご用意してくださったのは、お手製の野鳥図鑑。 おそとDEみらいーらの特製ミニガイドブック 「水辺の留鳥編」と「野山の留鳥編」です。
野鳥はこれで確認します!
留鳥(りゅうちょう)というのは1年を通して見られる鳥。
ちなみに、冬鳥は夏の暑い時期はシベリアなどで過ごし、秋冬になると日本にやって来て越冬する鳥。夏鳥は冬の寒い時期は南の国で過ごし、春夏に日本で繁殖活動をする鳥です。
ミニガイドブックはコンパクトなのでササッと確認することができて便利!
現在、冬鳥バージョンも絶賛作製中なのだとか。これからの季節に最適なガイドブックが誕生予定です。
浜松科学館みらいーら ダウンロードページ
ミニガイドブック「おそとDEみらいーら」
(https://www.mirai-ra.jp/download-page/)
ガイドブックの美しい鳥たちの写真は、なんと次期 浜松野鳥の会の会長でもある小粥さんのお父様が撮影! 家族旅行にもバードウォッチングを絡めちゃう、家族揃って生粋のバードウォッチャーです。
基本装備「双眼鏡」を正しく設定しよう
今回、双眼鏡は科学館の貸出品を拝借。
これまで双眼鏡を使ってよく見えて便利だなと思ったことがなかったのですが、小粥さんにレクチャーしてもらったら使い方が悪かっただけだと判明しました。
双眼鏡の設定
まずは眼鏡の有無により、双眼鏡のレンズと目との距離を調節します。
矢印部分が伸び縮みする
双眼鏡のレンズは目から少し離したところが最適に作られているので、見やすくするために眼鏡が無い場合はレンズ(矢印)部分を伸ばし。眼鏡の場合はひっこめたまま使用します。
お次は、双眼鏡のレンズを目の幅に合わせます。
両手で双眼鏡を持ち、両目でのぞきながら中心を起点にボディーをゆっくり開閉。
双眼鏡を両目でのぞいて、視野が二つの丸から一つの丸になるのがベストな目幅です。
視野が一つの丸になったらベスト
目幅が合ったら、上部のピント調節ダイヤルを回して(右目を閉じて)左目だけでピントを合わせます。
左目で合わせた時に、右目のピントが合ってない人は、右目の調節リングを回して右目のピントが合うように(左右の視力差を)調節します。
おぉ~、正しく設定すれば双眼鏡はよく見える!
鳥を双眼鏡で探すポイント
小粥さん | 双眼鏡をのぞいて鳥を探すのではなく、目標物を定め、顔と目を固定してから双眼鏡をあてます。 そうすると鳥を双眼鏡にいれるスピードが早くなりますよ。 |
見たいものとすごく距離がある場合、いきなり対象物を見ようとするとブレて大変。木の枝にいると分かったら、木の幹→木の枝→鳥と順を追って探すと見失わないそうです。
よし、これで双眼鏡の使い方はバッチリ!
本日の佐鳴湖バードウォッチングコース
今回の佐鳴湖バードウォッチングのコースは、佐鳴湖西岸の時計台から湖沿いに水辺の鳥を観察。最北端のであい橋の手前まで歩き、折り返し野山の鳥を観察しながら歩いて帰ってくる2㎞ちょっとのコース。
―――佐鳴湖は以前、水質ワースト1だったことがあるんですが、そういう状態でも鳥は来るんですか?
小粥さん | 来ますね。ただ栄養が多くなりすぎると、ある種の藻だけが繁殖しやすくなって、鳥にとって悪影響があるのではと言われています。 |
―――佐鳴湖は新川とつながっているかため名湖の水が流れてくる汽水湖ですが、野鳥に影響はありますか?
小粥さん | 南側から汽水が混ざる影響かどうかはわからないけれども、西北岸と東岸で見られる鳥の種類がちょっと違いますね。 東岸の方が、カモがよく見られたりしますね。「ミコアイサ」という佐鳴湖を代表するカモもよく東岸にいて。北岸は「カワセミ」が見やすいですね。あとは今「コウノトリ」が来ています。今日来ているかは分からないですが。 |
―――コウノトリ(天然記念物)! それはぜひお会いしたいです。 ちなみに昨年の科学館のバードウォッチングイベントでは同じコースで「31種類」を見つけたとあったので、今日はそれを超えるのが目標です。
小粥さん | 今日は望遠鏡を使わないので、ちょっと厳しいかな…… |
―――望遠鏡を使用するとさらに多くの鳥が観察できるんですね! ちなみに小粥さんの「推し鳥」はいますか?
小粥さん |
今の時期なら「ジョウビタキ」が見られるとうれしいですね。 結構身近な鳥で街中でも見られますよ。 お腹がオレンジ色の鳥です。 |
―――ジョウビタキ、狙っていきましょう。
小粥さんに見つけた鳥の二つ名をつけてもらおう
―――小粥さんにお願いがありまして…… カワセミは『水辺の宝石』と二つ名があるように、今日見つけた鳥全部に二つ名をつけていただきたいなと。
小粥さん |
ほぉほぉ、いいですよ。パパっとつけます。 かわいそうな名前ついちゃうかもしれませんよ(笑) |
ということで、鳥の名前と一緒に命名していただいた二つ名を表記していきたいと思います!
初心者向け「水辺の鳥」編
さぁ、マナーを守ってバードウォッチング!
まずはバードウォッチング初心者でも簡単に見つけられる水辺の鳥の観察へ。
湖岸をゆっくり歩くだけで、さまざまな種の鳥が観察できます。
イージーモードの水鳥たち
スタートしてからさっそく発見したのはカルガモ。
『年中無休なカモ』 カルガモ
発見地:佐鳴湖岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
カルガモ寝ています
小粥さん | カモは基本的に夜行性なので昼間は寝てることが多いです。 |
―――夜行性なんですか!
小粥さん | 夜来ると、陸上にカモが上がって来てたりしますよ。 |
言われて見れば亀の甲羅干しのように昼間寝ているカルガモたち
小粥さん |
ラクみたいですね。 両足使い分けているらしいですよ。ちょっと左足疲れたから右足使おうみたいな。 |
―――人間からするとラクそうには見えないんだけどな。
小粥さん | あとは片足を体の中にしまって、体温が逃げないようにするという説もあります。 |
1年中見られる上に、夏冬の羽が生え替わってもだいたい同じ見た目からか、小粥さんに『年中無休のカモ』と命名されたカルガモ。佐鳴湖に行けば遭遇率100%なのではというイージーモードの野鳥です。
『魚とり名人』 カワウ
発見地:佐鳴湖上/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
次に現れたのはカワウ
水の中に潜っては全然違うところから現れるカワウ。
また一瞬で潜っちゃったりします。潜るのが上手な『魚とり名人』。
小粥さん |
カワウ、めっちゃ泳ぐのうまいですよ。 カモとかも浮いてるけど、カワウの方がより体が沈んでません? |
―――たしかに、首だけ出ててネッシーみたいなシルエットです。
体がほとんど沈んでいるネッシーみたいなカワウ
小粥さん | カモはお尻付近にある脂腺から出た油をクチバシで羽に塗り付けて浮いたり、保温したりしているけど。カワウはすごく潜りたいからもう油つけなくていいや、ちょっと沈んじゃってもいいからめっちゃうまく泳ぎたいって |
―――え、羽に油つけてないんですか? あんなに濡れちゃって飛べるんですか?
小粥さん | 飛ぶときにびしょびしょで重たいから、よく体を乾かすんですよ。 |
この状態のカワウは羽を乾かしていたのか
小粥さん | あとは乾かしやすいように、熱を吸収しやすい黒色をしているんじゃないかと言われています。黒い方が温まりやすくてすぐ羽が乾くじゃないですか? それですぐ飛べるようにしてるんじゃないかって言われていますね。 |
―――水鳥がみんな羽に油つけてるわけでもないんですね。
小粥さん | 泳ぎ重視にするか、浮きを重視するかですね。 |
『水陸両用』 オオバン
発見地:佐鳴湖岸/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★☆☆☆
小粥さん | あ、また違うの来ましたね。 |
オオバンですね
嘴と額の部分だけ白くて、他は真っ黒なオオバン。
秋冬に佐鳴湖にやって来る鳥ですが、全国的に増えているそうです(理由はちょっと不明)。
葉っぱや虫を食べる雑食です。
―――オオバンの額部分も同じ色だけど、クチバシの一部なんですか?
小粥さん |
クチバシではないですね。 額板(がくばん)といいます。 |
額板の大きさはオオバンそれぞれ
―――オオバンの泳ぎ方おもしろいなー。
小粥さん |
おもしろいですよね。 カワウとかと比べると、結構必死に泳いでません? |
―――たしかに! 頭がやたら前後に揺れてますね。
小粥さん |
オオバンは水かきがすごく小さいんですよ。 なのですごく一生懸命こがないと進まないんです。 |
―――そんなに水に適してないんですか?
小粥さん | オオバンはカモの仲間でなくて、クイナの仲間なんですね。 西表島にいるヤンバルクイナとかのクイナの。クイナは一回陸上で生活してて水かきがないんですよ。でも、オオバンはまたちょっと水に戻ってきたから小っちゃい水かきができたんです。 |
独特な水かきをもつオオバン
―――もっと水かき大きくしたらいいのに…… 、そんなにすぐには進化しないものですかね?
小粥さん | 水かきって人間もそうなんですけど、胎児の時、はじめは指の間も肉に覆われていているんですね。そこに遺伝子が作用して、水かき部分の指の間の肉を消滅させて指ができるんですよ。 |
―――私は自分の水かき自分で消滅させていたのか!
小粥さん | 水かきがどうやってできるかというと、指の間の肉部分を消滅させる遺伝子が効かないようにする遺伝子が発現すると水かきが残ったままになるんですよ。この仕組み自体は単純なので、水鳥にとっては水かきがなくなったりできたりするのはそんなに珍しいことではないですね。 |
―――いつの間にか泳ぎやすそうなオオバンが現れるかも?
小粥さん | そうかもしれません(笑) |
でも、オオバンは陸も歩きたい『水陸両用』
―――じゃあ、あんまり水かき発達させ過ぎちゃうのもよくないのか。
小粥さん |
そうそうそう。 ちなみに、オオバンより小さなバンというのもいて |
―――オオバン(ハトくらいだけど)あれで大きいんですか?
小粥さん |
あれで大きいんですよ。 バンも水の中に入るんですけど、水かきが全くないのでもっと頑張っているのがいたらバンです(笑) |
頑張って泳いでいるからなんだか応援したくなるオオバン。
今の時期なら遭遇は簡単!
オオバンより小さいバン(クチバシと額が赤色、クチバシの先の方が黄色っぽい)も佐鳴湖の留鳥なので出会えるチャンスはたくさんありそうです。
『金髪モヒカン』 ヒドリガモ
発見地:佐鳴湖上/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★☆☆☆
湖上には多くの水鳥が浮かんでいますが、正直遠すぎると双眼鏡でのぞいても何鳥か識別するのは難しい。
小粥さん | あ、ヒドリガモいますね。 |
―――えええ(カモとしかわからん)
小粥さん | あまり遠くにいる鳥は望遠鏡がないと厳しいかもしれません。 |
双眼鏡には限界がある!
でも、小粥さんのように頭の中に鳥の造形が浮かんでいると、遠くの鳥の些細な違いも見分けられるようです。
ヒドリガモの金髪モヒカン具合は確認できていません!
小粥さん | 信じて見るんです、心の目で。 |
さすがに心の目は修行を積まないと(鳥の特徴を知らないと)難しい!
冬鳥なのでもう少し寒くなったら頻繁に遭遇できるであろうヒドリガモ。
カモなので湖に飛来していれば、見るのは簡単です。
佐鳴湖のアイドル「ミコアイサ」も冬鳥
佐鳴湖のアイドルミコアイサは東岸によく現れます!
今年の冬はミコアイサに会いに行きますわ。
存在感たっぷり ビッグサイズな鳥たち
小ぶりな鳥たちの中にいるとやはり目立つのは大型のサギたち。
『灰色だけど』 アオサギ
発見地:佐鳴湖上/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
眉毛が特徴的
青くないじゃんと思われがちなアオサギ。
昔は「灰色」を「青色」と呼んでいたことが由来です。
意外と田んぼや市街地で見掛けるけど、あんまりたくさんいると正直戸惑います。
小粥さん | アオサギは何考えてるのか分からないです(笑) |
アオサギのそこはかとなく漂うおっさん感よ
アオサギ |
ギャーッ |
小粥さん | 夜中にこの「ギャーッ」って声よく聞きません? |
―――え、アオサギも夜行性なんですか?
小粥さん | 夜も活動しますね。 |
―――意外と夜行性の鳥多いですね。
小粥さん |
多いですよ。 僕らが昼間見ているのは鳥たちの生活の本当に一面ですね。 |
ちょっと恐竜っぽくもある
小粥さん | 鳥ってなんで飛べるようになったと思います? |
―――えぇ! (なんでだ)
小粥さん | 諸説あるんですけど、確実に言えることは卵だからなんですよ。 |
―――へ???
小粥さん |
鳥は軽いじゃないですか。 そのひとつの理由がおしっこをしないからで。 |
―――あー、鳥のうんちとおしっこって一緒になっていますね。
小粥さん | 生き物は代謝するとアンモニアが絶対出るんですけど、有毒なので体の外に出さないといけなくて。鳥はアンモニアを尿酸に変えて固体にして出すのですごくコンパクトなんですね。人間は尿素として水に溶かして出すんですけど、水に溶かすという行為は体の中に大量の水をとっておかないといけないので重たくなっちゃうんですよ。 |
―――鳥は圧倒的に水分の量が少ないのかー。
小粥さん | だから体の軽量化に役立っているんですよ。 何でそうなったかというと、卵を作るためなんですね。 卵って一定期間ずっと卵じゃないですか? 外にアンモニアが出せないんですよ。 それで、水分としてとっておくには卵の体積が足りないので、固体にするしかないんですよ。 |
―――哺乳類なら母親を通してアンモニアを出せるけど?
小粥さん |
そうなんです。 でも、鳥とか爬虫類はそうはいかないのでね。 |
―――だからドラゴン(空を飛べる架空の生物)もちゃんと卵から生まれるんですね。
小粥さん |
そうそうそう(笑) 恐竜たちも卵ですからね。そこから飛べることができたという。 飛べるから卵ではなくて、卵だから飛べる可能性が生まれたんです。 |
『シラサギ界の弟分』 コサギ
発見地:佐鳴湖東岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
小粥さん | 向こう岸にコサギとダイサギいますね。 |
―――(小粥さん、向こう岸までチェックしていたのか)
いそいそと双眼鏡をのぞきだす面々
足の指だけ黄色いコサギ
コサギとダイサギ、一緒にいてくれるとサイズの違いで分かりやすい。
単品の場合は、クチバシが黒くて指が黄色いのがコサギ。
夏場は頭に飾り羽をつけておしゃれさんです。
『シラサギ界の兄貴分』 ダイサギ
発見地:佐鳴湖東岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
同じシラサギ(白鷺)だけど、大きくてクチバシが黄色いのがダイサギ。
夏場はクチバシが黒色、冬場はクチバシが黄色に変わるという謎の仕様です。
―――ダイサギのクチバシの色ってそんなに簡単に変えられるものなんですか?
小粥さん | 変わるみたいですね。黒から黄色にね。 |
―――羽の色が夏冬で変わる鳥いますけど、クチバシいっちゃう!?みたいな
小粥さん |
たしかに、たしかに(笑) 嘴全とっかえというわけではなくて、表面の皮の部分だけの色が変わるそうです。 |
『シラサギ会の弟分と兄貴分』ですが、実はシラサギは三兄弟。
真ん中に次男のチュウサギが存在します。見た目はほとんどダイサギと同じ。
サイズはおよそ、ダイサギ90cm・チュウサギ70cm・コサギ60cm。
ちょっと長男だけ大きめ。
兄弟一緒にいてくれたらいいけど、遠くにチュウサギだけいたらダイサギなのか大きさが掴めなさそう。
小粥さん |
サギの仲間は基本的に飛ぶときは首をすぼめます。 そのほうが抵抗が少なくて飛びやすいので。 |
小粥さんの言葉をガン無視して首を伸ばしたまま飛び始めたダイサギ
あ、魚とりでしたか
見事に魚を一発捕りしたダイサギ。
首を伸ばしたまま飛んだらお食事の様子が見られるチャンスかも。
ゴクゴク飲み込めないので物理的に落とし込んで食べているそうです。
泳ぎが得意なカイツブリの仲間
『ツーブロックのイケメン君』 カンムリカイツブリ
発見地:佐鳴湖上/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★☆☆☆
潜るのが得意なカイツブリの仲間
―――正面から見ると結構オラついた顔してますね。
小粥さん |
夏になるともっと頭がグワッといかつくなります。 それが冠みたいに見えるので「カンムリカイツブリ」です。 |
―――別に気性が荒いわけではなく?
小粥さん |
それはないと思います(笑) 日本のカイツブリの中では1番大きいので、いかついイメージはありますけどね。普通のカイツブリも今日見られるかもしれませんよ。 |
このくらい離れていても、頭のシルエットで「あれはカンムリカイツブリだな!」と分かるようになると楽しい。
『しゃくれ君』 ハジロカイツブリ
発見地:佐鳴湖上/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★☆☆☆
真っ赤なお目目のハジロカイツブリ
羽の内側の白い部分が「ハジロ」の名前の由来。
カンムリカイツブリより小さくて、ハトくらいの大きさのハジロカイツブリ。
小粥さんに『しゃくれ君』と命名されてしまいました。
一体どこがしゃくれ、と思ったらどうやら見た目がそっくりなミミカイツブリが存在するそう。
違いはクチバシの反り(しゃくれ)具合。
ミミカイツブリのクチバシは真っすぐ。ハジロカイツブリのクチバシはわずかに上に沿って(しゃくれて)います。
遠くでも白い羽のふわふわ具合でハジロカイツブリだと認識できる気でいましたが、しゃくれ具合まで分からないのでミミカイツブリが現れたら厳しいかも。
冬は集団で過ごします
小粥さん | 潜り始めると一斉に潜るからおもしろいですよ。出てくるときも一緒なんで。 水中でどういう狩りの仕方をしているかは分からないですけどね。 |
鳥が集団でいる理由は、敵が来たときに群れの中の誰かが気づけば危険を回避できるので効率が良いとか、集団で狩りをした方が都合が良いからなどだそう。サバンナの動物たちと一緒ですね。
佐鳴湖バードウォッチングと言えば
カワセミ | チー!(高い声) |
遠くで鳴いていたカワセミの声を聞きとる小粥さん。
―――え、向こうで鳴いたカワセミの声が聞こえるんですか? 全然距離感掴めないです。
小粥さん |
聞こえますよ。 たしかに距離感は難しいですね。 |
近くで鳴いたのか、遠くで鳴いたのかさっぱり分からない素人。
否、そもそも鳥の種類が鳴き声で判別できていません。
『水辺のアイドル』 カワセミ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★★☆☆☆
いましたカワセミ
遠くにいるカワセミに対して、思わず抜き足差し足忍び足で近づこうとしてしまう。
―――この距離で(抜き足差し足する)意味ありますか?
小粥さん | あの、カワセミはもう重々承知の上なんで、意味はないですね。 |
体のわりにクチバシが長い
小粥さん |
クチバシが真っ黒だからオスですね。 メスはクチバシの下のところがオレンジです。 |
こんなに目立つ色をしているのに、意外と周りの景色と馴染んでしまうという不思議。
何羽か見たけどみんな魚とりに失敗してた、がんばれ!
その愛らしさから大勢の人に見守られているカワセミ。
「あ、カワセミいた」などと喜ぶ声が上がるので他力本願でも見つけられるかも。
でも、カワセミがよくいると言われている場所以外でもいきなり遭遇するから、青い影が視界を横切ったら即座に反応できるようにしておきたい。
上空もお忘れなく「猛禽類」編
湖の中にばかり注目していると……
小粥さん | あ、トビですね。 |
―――ええ、上!?(小粥さんには全方向見えているのか)
水面にばかり注目していると忘れがちですが、上空にも観察できる鳥がいます。
『身近なイーグル』 トビ
発見地:佐鳴湖上空/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
悠々と飛んでいるトビ
小粥さん | トビは自分から水の中に潜って食べないので、打ち上げられた魚の死体などを食べますね。死んだ魚を拾ってくるのではなくて、泳いでいる魚を自分で狩りにいっちゃうタカが「ミサゴ」です。 |
トビがあたかも自分で狩りましたみたいに握っているのは拾った魚
トビはお腹が茶色、ミサゴはお腹が真っ白。
佐鳴湖で生きた魚を捕まえるハンター「ミサゴ」との遭遇に期待したが、この日はあいにくご縁がなかったようです。
羽を休める3羽のトビ
「ピーヒョロロロロ」と時代劇とかでよく聞く(と個人的には思っている)トビの鳴き声が聞こえたら上空か木の上にも注目です。
『小太りイーグル』 ノスリ
発見地:佐鳴湖上空/季節:通年(留鳥)/レア度:★★☆☆☆
小粥さん | 上にノスリいますね。 |
地上の鳥を探してたら、またしても突然の上空チェック。
スピード感についていけず、ノスリのシルエットのみを見るに終わる。
―――瞬時に双眼鏡を構えて、パッとのぞいて合わせられないです。
小粥さん | ここからこう、下げた双眼鏡を構える動きが意外と重要です。 |
―――(小粥さん、めっちゃ速い!)
あとで木にとまっているのを見つけたノスリ
小粥さん |
ノスリはタカの仲間。 トビよりも色が薄くて太いです。 |
ノスリ、漢字で書くと「鵟(狂+鳥)」。 狂った鳥になっちゃいます。
ノスリとミサゴの存在を知ると、(トビには誠に失礼ながら)だんだん上空で見つけた鳥がトビだとハズレな気分になってくる。
難易度アップ!「野山の鳥」編
水辺の鳥から急に難易度がアップ!
鳥の動きが素早かったり、木々が茂っていて見つけにくいのが野山の鳥です。
水辺の鳥を観察しつつも、「今、ヒヨドリ鳴いてますね。」などと、野山の鳥の声にも耳を傾けていた小粥さん。 小粥さんは実際、どのように野山の鳥を観察しているのでしょうか。
―――野山の鳥を観察するコツはありますか?
小粥さん | まず鳥の鳴き声で判断していて、鳴き声がしたら○○がいるかもしれないからいそうなところをよく見ようとか。草むらが動いたらそこにいるかなとか。 |
ゆったり歩いているだけのように見えて、鳥の気配に合わせて観察するポイントを押さえながら歩いているようです。己が野生動物になったかのような気持ちで臨むと良さそう。
まずは身近な鳥から
古来から人家に棲んでいる、私たちに一番馴染みのある鳥と言えば……
『小さな隣人』 スズメ
発見地:佐鳴湖岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
小粥さん | スズメは頬っぺたの斑点が大きいオスほど身体能力が高いんですよ。 これが大きいと血液に酸素を取り込む能力が高いので疲れないタフなオスなんですね。メスには斑点と運動能力の関係はないみたいですけどね。 |
小粥さん | 僕らにはどれがオスか分からないけど、メスからしたらオスは分かっていて、斑点で「あのオス、ちょっといいかも♡」「めっちゃアクティブかも♡」みたいな。 |
心なしか上にいるスズメの頬っぺたの斑点が大きい気がしなくもない
小粥さん | スズメは全国的に減ってきているんですよ。 |
―――そうなんですか!? 浜松市でも?
小粥さん |
ちょっと浜松市では分からないですけど。全国的には減ってきちゃっています。 民家の軒下で稲とかを使って巣を作ったり、お米を食べたりしていたんですけど、そういう場所がだんだん減ってきちゃうと、スズメも減っちゃうんですね。 |
近所の田んぼも埋め立てられて民家になったり、鳥が軒下に巣を作れないような新しい住宅が増えたり…… 。人間の生活と密接な関係があるからこそ影響を受けやすい鳥なのかも。
『癒しのモーニングコール』 キジバト
発見地:佐鳴湖岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
カサカサ歩く音がしたらキジバトかも。
たいがい出会えるイージーモードの野鳥です。
ハトあるあるで、近くに寄ってもギリギリまでピクリとも動かなかったりします。
目の色が鮮やかなキジバト
公園でよく見る灰色のハト(ドバト)とは別物。
背と翼にうろこ模様、首の縞模様が特徴的です。
キジバトは太い枝でブスブスブスと巣を作っちゃう大雑把な性格
キジバト |
ホーホーホッホー |
「デデーポッポー」と表現する人もいる独特の鳴き声。
田舎でよく聞く謎の鳴き声と認識されていることが多く、ホーホーしているからかフクロウと勘違いされがち。
小粥さん | 朝、キジバトのさえずりで起きられたら幸せを感じます。 |
謎の声と名高いキジバトの声をモーニングコールとして癒される人がいようとは。
ひっそりと木にいることも
浜松科学館note
キジバトはクリスマスにも愛を叫ぶ
https://hamamatsu-sci-museum.note.jp/n/n0b5b99d3e977
『カラス界のハスキーボイス』 ハシボソガラス
発見地:佐鳴湖岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
身近な鳥のひとつであるカラス。
パッと見同じだけど別物な2種類のカラスが存在します。
カラス |
グァー |
―――これは! ハシボソか(予習してきた)
鳴き声が「グァー」とダミ声なのがハシボソガラス。
クチバシが細いので嘴細(ハシボソ)です。
小粥さんはオブラードに包んでハスキーボイスと表現してくださっています。
―――さっきからハシボソガラスしか会ってないです。
小粥さん | もうじきハシブトガラスにも出会えると思いますよ。 |
『カラス界のクリアーボイス』 ハシブトガラス
発見地:佐鳴湖岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
いましたハシブト(めっちゃ食べてます)
鳴き声が「カー」とクリアな声なのがハシブトガラス。
ハシボソよりクチバシが太く(嘴太)、やや体格もいい。
―――ゴミ置き場を漁っているカラスはどっちです?
小粥さん | 浜松ではどちらのカラスもゴミ置き場にいますが、都心部ではハシブトガラスが多いそうです。 |
―――じゃあ、都会のハシボソ的には一緒にしないでほしいとか?
小粥さん |
ははは(笑) 結構 行動パターンが違うらしくて。 ハシボソはひらけたところで活動するらしいですよ。 それなりの棲み分けがあるみたいです。 |
―――ハシボソとハシブトって言葉が通じているんですか?
小粥さん | そこまでの研究はいってないですね。 種内でのコミュニケーションでまだやっとみたいで、個体識別までされているってのは研究されています。 |
同じカラスだと思うなよ、と都会のハシボソガラスが思っているのかは不明ですがカラスと一纏めにしないで鳴き声とクチバシに注目していきたい。
撮れててビックリした恐怖の目元
写っている白い膜は「瞬膜」という眼球を保護する役割の透明又は半透明の膜。
顔の中心から外側に向かって動くようだ。
爬虫類や鳥類はまぶたの下に備えているらしい。
だから目を開けたまま空を飛べるのだろうか。
ペットの文鳥では瞬膜の存在までは認識していなかったですね。
素早いけど気配で分かりやすい鳥たち
意外と探しやすいかもと感じたのは、よく動く鳥とよく鳴く鳥。
『黒色のネクタイ』 シジュウカラ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
賑やかな鳴き声の集団に遭遇。
小さな鳥たちがせわしなく動き回っています。
動きは早いけど何匹か一緒にいるので、葉っぱの揺れなどから気配をたどりやすい。
頬が白くて背中が黄緑色
小粥さん |
シジュウカラですね。 お腹に黒いラインがあります。 |
―――シジュウ(四十歳)……
小粥さん |
(四十歳と言いたげなのを察してくだった小粥さん。) ゴジュウカラってのもいるんですよ。 サンジュウカラはいないですね。 |
ゴジュウカラはよく似た名前の鳥だけど分類上は、シジュウカラ科シジュウカラ属とゴジュウカラ科ゴジュウカラ属で、全然関係ない鳥なのだとか。
お腹の黒いラインがネクタイのようなシジュウカラ
ネクタイが太いとオス、細いとメスと言われているようです。
―――ネクタイが太い方がイケてるとか?
小粥さん | そうかもしれないですね(笑) |
「ツピーツピー」「ジジジジジジ」などとシジュウカラ同士賑やかにおしゃべりしながら動き回っているので存在には気づきやすい。鳴き声にいろんなパターンがあるので素人的には全部違う鳥か?と思ってしまいそうです。
『すみません、ウグイスじゃないです』 メジロ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
緑色で目の周りが白いことからメジロ
庭の木にみかんを刺しておくと現れたのが私の記憶にあるメジロ。
小粥さん |
うぐいす饅頭とか、うぐいす色って言われているのはメジロの色です。 ウグイスは地味なオリーブ色ですね。 |
―――メジロ饅頭じゃないですか!
メジロのステルス能力はなかなかのもの
小粥さん | このへんのサザンカの花の蜜を吸ってますね。こういう花の蜜が大好きなので。 クチバシがとがってて密吸いやすいんですよ。 |
ガサガサせわしなく動いているので気配は簡単に察知できるメジロ。 サザンカの花を探せば自ずとメジロは見つけられるであろう。
『餌場の暴れん坊』 ヒヨドリ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
全身が灰色、頬が茶色、尾が長くてスマートな体系
水辺の鳥の観察中も、今鳴いているの全部ヒヨドリですねと、小粥さんにはうるさいくらい気配がしまくっていたヒヨドリ。「ヒヨヒヨ」鳴くと言われているけど正直「ヒヨ」には聞こえません!
気性が荒いので『餌場の暴れん坊』と命名されてしまったようです。
暴れん坊だけど花の蜜や果物が大好物。
―――よくミカン狩りに行くと、おいしそうなミカンは裏側が鳥に食べられていることが多いんですよね。
小粥さん | 鳥もカラフルなの見えるんですよ。 |
―――小粥さんが執筆している浜松科学館noteでネコとヒトの「見え方」の違いを取り上げていたじゃないですか? そこにヒトは赤色・緑色・青色の3色型色覚とあったんですが……
小粥さん |
鳥は4色型色覚ですね。 紫外線もいけちゃうので、よりカラフルに見えてます。 |
―――紫外線まで見えるのか! あれ? でも、うちのペットの白文鳥は床に落ちてる小さいエサを見つけられるわりに、丸めた白いティッシュに勘違いして求愛してるんですよね。目がいいのか悪いのか疑っちゃいます。
小粥さん | 世界がカラフルに見えているかどうかっていうのと、ハッキリ見えてるかどうかはまた別で。ハッキリ見えているという点では、人間の方が明らかに鮮明に見えているらしいんですよ。どこまで鮮明に見えているのかは分からないけど、人間よりカラフルに見えているのは確かですね。 |
―――なるほど、「よく見える」と「カラフルに見える」は違うのか。 そういえば、鳥目(夜になると見えなくなる)って言うじゃないですか?
小粥さん |
鳥目って言いますけど、実際には結構見えているそうですよ。 少なくとも人間よりは見えてるみたいです。 |
―――人間より見えているのか! うちの文鳥は電気消すと固まってましたよ。
小粥さん |
試しに懐中電灯当ててみたらわかりますよ。 懐中電灯を当てて目が光るとタペタムという夜行性生物の秘密兵器を備えていて、暗い夜間でも活動できるので。 鳥にもタペタムがあるそうです。 |
懐中電灯当てると光る眼なら夜も見えているという
浜松科学館note
ネコとヒトの「見え方」の違いから「生き方」の違いが見えてくる話。
https://hamamatsu-sci-museum.note.jp/n/n3fc71a422222
セキレイ御三家
セキレイ御三家とは、
「ハクセキレイ」「セグロセキレイ」「キセキレイ」。
『テケテケ鳥』 ハクセキレイ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★☆☆☆☆
ピャッっと飛んできては、テケテケ歩き回るハクセキレイ。
市街地でもかわいらしくテケテケ高速で歩く姿が見られます。
セキレイ御三家のひとり「ハクセキレイ」
その歩く速さもさることながら、飛ぶのも速いハクセキレイ。
この日最初に見た姿は「チチッ、チチッ」と鳴きながら虫と空中戦を繰り広げるハクセキレイの残像でした。動体視力が足りません!
以前、私が街中で見かけたことがあるハクセキレイはもっと黒っぽかったような?と思ったら、個体差はあるものの、どうやら秋から冬にかけて背中が灰色になるようです。
季節と個体差で背中の色が結構違う
頬と眉が白色なのがハクセキレイ。
似ているけど頬まで黒色なのがセグロセキレイ。
そして、ハクセキレイと違って自然度が高いところが好きなのがキセキレイ。
ハクセキレイは近くまで寄ってもなかなか逃げず、なんならわざわざ振り返ってこちらを伺うような愛らしい鳥。
テケテケ歩くセキレイは人間みたいに左右の足を交互に出して歩く=ウォーキング。
スズメは両足をそろえて跳ねるように歩く=ホッピング。
鳥によって違う歩き方に注目して見てみるのも楽しい。
『水辺のイエロー』 キセキレイ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★★★☆☆
小粥さん「あ、キセキレイいますね。」
近寄り過ぎて地面から木に逃げちゃった
腹部が黄色なキセキレイ。
夏は黄色が鮮やかになるそうです。
小粥さん | キセキレイは自然度が高めの小川っぽいところが好きですね。 市街地では見られない鳥で、セキレイの中では、キセキレイが一番珍しいです。 |
登場の仕方がハクセキレイと似ていて、「チチン、チチン」と鳴きながら飛んできてスタッと着地。ハクセキレイより警戒心が強いようであまり近づくとピャッと逃げてしまいます。
藪の中が大好きな鳥たち
『声はすれども姿は見せず』 ウグイス
発見地:佐鳴湖北岸(声だけ)/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★★★☆
ウグイス | チャッチャ |
小粥さん |
今の鳴き声はウグイスで間違いないですね。 でも、藪の中に入っちゃうとなかなか出てこないんですよ。 |
ウグイスが「ホーホケキョ」と鳴くのは春夏の繁殖期のみ。
今の秋冬の時期は「チャッチャ」という地味なフレーズ(地鳴き)。
―――ウグイスは木にはとまらないんですか?
小粥さん |
滅多に行かないですね。 藪が大好きです。 |
鳴けども鳴けども姿は見せないウグイス。
ウグイスを待つということは、いつどこから出てくるか分からないアイドルの出待ちのよう。
鳴き声でいるいるアピールだけは激しい、匂わせ系の超絶難易度高い鳥なのでは。
『舌打ちじゃなくて地鳴きです』 アオジ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★☆☆☆
鳥? | チッチッチッ |
―――鳥の鳴き声がすると思って近づいたら木の上でなくて、草むらから声がするんですけど
小粥さん | たぶん、アオジがいますね。 |
粘り撮りしたアオジ(左:オス 右:メス)
舌打ちみたいなアオジの鳴き声がしたら見るべきは藪の中。
覗き込んだら見られるかも。
うっかり藪から出てきたアオジに遭遇する可能性も。
オスは黄緑がかった色。
メスは一瞬スズメと勘違いしそうな色合いだけど、近寄った時の反応の鈍さが段違い。なかなか逃げないから逆に心配になるよ!
『日本最小のキツツキ』 コゲラ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:通年(留鳥)/レア度:★★☆☆☆
―――あ!何かいる
小粥さん | 小粥さん:コゲラですね。 |
背中のボーダー柄がかわいらしい
木に着地する瞬間を偶然目撃! 小粥さんより先に気づけるとめっちゃうれしい。
―――コゲラ、リスみたいに動きますね。鳥っぽくないな。
動きがリスというか、忍者のようでおもしろいコゲラ。
足の使い方が独特です。
小粥さん |
日本最小のキツツキですよ。 よく見てコンコンしてますね。 樹皮がはがれそうなところを探してるっぽいな。 |
コゲラは体が小さいからクチバシでコンコンしてもうまく深く木が掘れないので、樹皮をちょっとはがして虫を食べるそうです。
キツツキは普段見ないタイプの鳥だから、コゲラを見つけられるとなんだかうれしい。時おりする「ギィーギィー」という鳴き声や木をコンコンする音を目印に探すと見つけられるかも。
おもしろくてずっと見ていたい鳥だけど真上にいるので首がやられます。
―――鳥がいないかなとずっと探しながら歩いていると、だんだん自分の中の鳥を察知するセンサーが鋭くなってきている気がします!
小粥さん | 上がってきてますか(笑) |
オスとメスの見た目がすごく違う鳥
バードウォッチングも終盤、もう終わりますかという頃に現れたのは小粥さんの推し鳥。
小粥さん、持ってますね!
『小粥イチオシ』 ジョウビタキ
発見地:佐鳴湖北岸/季節:秋冬(冬鳥)/レア度:★★★☆☆
「ヒッヒッヒッ」と鳴くジョウビタキ(オス)
小粥さん |
オレンジ色で頭が銀色なんです。 動いた時に尾羽がビビビーンと動くのがかわいいんですよ |
―――本当だ、尾羽の動き(ビビビーン)かわいい!
鮮やかでかわいらしいジョウビタキのオス。
メスは尾のあたりはオレンジ色だけど全体的にやや地味な灰茶色。
紅葉に紛れるような色合いです。
ジョウビタキ(メス)
冬はオスもメスも一羽ずつが縄張りを持つジョウビタキ。
一度見掛けた場所が縄張りなので、同じところで出会える可能性が高いです。
ジョウビタキ(オス)は同じ木で別の日にも目撃できました。
オスとメスの見た目が全然違うジョウビタキ。
―――オスとメスで明らかに見た目が違う鳥と全然変わらない鳥がいるのは何でですか?
小粥さん |
何ででしょうね。 人間には分からないけど鳥にはオスメスが分かっていて、それがハデな見分け方なのか、地味な見分け方なのかってだけかもしれないですね。 ハデだと外敵から狙われやすいので冬場の鳥はほとんど地味ですけどね。 |
―――鳥と人間では見えている世界が違うのかもですね。 鳥には紫外線まで見えているんだもの。
本日のバードウォッチング結果発表
カルガモ、カワウ、オオバン、ヒドリガモ(小粥さん以外に識別不能)、アオサギ、コサギ、ダイサギ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、カワセミ、トビ、ノスリ、スズメ、キジバト、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ハクセキレイ、キセキレイ、シジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、ウグイス(声のみ)、アオジ、コゲラ、ジョウビタキ
全25種!
昨年のイベント(31種)にはあと一歩及びませんでしたが、上々ではないでしょうか。
―――ところで、佐鳴湖には全部で何種類くらいの鳥がいるんですか?
小粥さん | 記録だと通算130種類くらいです。 |
―――130種類も!
小粥さん | 珍しい鳥もたまに来るのでそういうのもカウントして130くらいですね。 |
―――珍しい鳥ですか?
小粥さん | 例えば、僕が小さい頃に佐鳴湖で見たのは「クロツラヘラサギ」という、黒い顔にクチバシがヘラみたいな形をしている鳥なんですけど |
クロツラヘラサギ、すごくヘラ
小粥さん | クロツラヘラサギみたいに世界に数千羽くらいしかいない世界的に珍しい鳥が佐鳴湖に来たりもするんですね。そういうのも含めて130種類ですね。今の冬の時期だともう少し経てば冬鳥のカモがいっぱい来るので、そうすると佐鳴湖1周で50種類くらい見られるかもしれませんね。 |
―――もう少し寒くなれば1日で50種類見つけられるかも!
鳥の鳴き声が聞き分けられると見つけやすい?
野山の鳥を観察してみて感じたのは、鳴き声を判別できるかが鳥を見つけるために重要ということ。鳴き声の種類も距離感も掴めないので全然見当違いな場所を注視してしまったりするんです。
あとは、単純にお目当ての鳥の鳴き声がするか否かでテンションだって違ってきますよ!
―――鳥の声を聞き分けるための方法ってありますか?
小粥さん |
鳴き声のCDとかで勉強するしかないですね。 一番簡単なのは、野鳥の会など会員にならなくても参加できるイベントがあるので、そこで詳しい人から教えてもらうのが一番手っ取り早いですね。 |
たしかに今回のように一緒に回って教えていただくと、鳴き声だけでなく探し方とかも掴みやすい。野鳥はある程度どこらへんにいるのか決まっているそうなので、見るべきポイントも一緒に回ることで知ることができますね。
12月はバードウォッチングデビューにバッチリなイベントを開催
浜松科学館で 12月に実施するイベントは「親子でバードウォッチング」。
小粥さんと一緒に冬鳥を探しに行けちゃいます!
開催日:12/20(日)・12/27(日)10:00~12:00
費 用:1組300円
会 場:馬込川周辺(集合:浜松科学館 カフェ)
定 員:各日10組(予約不要)
対 象:小学3年生~中学生とその保護者
湖などの広い場所を好む猛禽類(ノスリやミサゴ)は見られませんが、カワセミは馬込川でも見られる可能性が!
この冬バードウォッチングデビューするならオススメのイベントです。
小粥さんは鳥以外にも生き物のことならなんでも答えてくれるので、質問を拵えて参加しちゃいましょ。
詳細はこちら「浜松科学館・親子でバードウォッチング」から
https://www.mirai-ra.jp/event/12453/
「生き物博士」小粥さんの生態
生き物なら分け隔てなく好きという小粥さん。
普段はサイエンスチームリーダーとして、浜松科学館でお客様へ展示解説や週末のイベントの企画運営をされています。
浜松科学館の生き物博士
―――小粥さんはいつも浜松科学館にいらっしゃるんですか?
小粥さん |
基本的にずっと科学館にいますよ。 普段は展示を使った解説や工作のワークショップなどをしています。 |
―――じゃあ、浜松科学館に行けばだいたい小粥さんにお会いできる?
小粥さん | いますいます(笑) |
科学館1階自然ゾーンでミコアイサにタッチするハマラボスタッフ
自然ゾーンを作る際には、展示の内容や見せ方などにも関わったという小粥さん。
小粥さん | 奥のほうにある昆虫の標本、コレクションウォールにある標本は僕と父が幼少期から集めた標本を並べてありますね。 |
―――小粥家の私物の標本!?
上に並ぶのは小粥家の私物の標本
小粥さん | 真ん中のアクティブリサーチデスクの圧縮標本の昆虫系は僕が集めましたね。 |
アクティブリサーチデスク
小粥さん | キレイなモンシロチョウが欲しかったので、冬に川辺のコンクリートをひっくり返してモンシロチョウの蛹をとっておいて |
―――まさか育てるとこから!
小粥さん |
春に出てくるので、そうしたらすぐに標本にします。 すぐ標本にすると鱗粉とか飛ばなくてキレイなんです。 |
生き物の中では昆虫が1番得意という小粥さん。
実は生き物を飼うのは苦手なのだそうです。
小粥さん |
面倒を毎日見るのは苦手です。 1、2日くらいエサあげなくても平気かなって思っちゃって。 |
―――あれ、生き物博士ですよね?
小粥さん |
ははは(笑) だから生き物に申し訳なくて、ペットは出来るだけ飼わないようにしています。 でも、最近 仕事で飼ったのはスズメバチですね。あれは真剣に飼いました。 |
―――スズメバチを手に乗せてみませんか?ってイベントも科学館で実施してましたね!
出口ゲート近くの黒板は小粥さんの手描き
浜松科学館、出口ゲート近くの素敵な黒板はなんと小粥さんの手描き。
絵が好きで、高校時代は美術部に所属していたそうです。
生き物博士ならではの生き物や植物のリアルな特徴をとらえた可愛らしいイラストは見どころ!
浜松科学館のYouTubeチャンネルでは、まっさらな黒板に小粥さんがイラストを描き上げる映像を見ることができます。黒板だけでなく浜松科学館noteや浜松科学館ニューズレター「COMPASS」などにも小粥さんのイラストが掲載されていますよ。
Twitterでは何処からともなく現れる生き物博士
小粥さんは、個人でTwitterを通して何やらおもしろい活動もされています。
―――Twitterに投稿された「これ何て鳥(虫)だろう」という数々の生き物に関する疑問ツイートに、小粥さんが颯爽と現れては回答していらっしゃるのを見たんですが。あれはいつから、どういうきっかけで始めたものなんですか?
小粥さん |
7年前なので、学生の頃からですね。 自分だけが生き物について知っているのが勿体ないなと思って。 観察会とか実施しても教えてあげられる人数は決まっているので。 |
小粥さん |
イベントに参加してくれるのは生き物が好きな人なんですよね。 そうではなくて、あとちょっと後押しすると生き物好きになりそうな、生き物好き予備軍の人ってめちゃくちゃいると思うんですよ。 |
―――それを(生き物好きに)転がそうと?
小粥さん |
そうそうそう。 図鑑を開くまではいかないんだけど、専門家に聞くまではいかないんだけど、ちょっと気になるってくらいの人はすごく多いので。 |
―――ツイッターで分かりやすく「#(ハッシュタグ)この虫何」とかつけた人に回答するのはわかるんですけど
小粥さん |
ハッシュタグつけるのは種類を知りたい人たちなんですよね。 そうではなくて、そういうハッシュタグをつけるまでもいかないんだけど、パッと目についた生き物をツイートした、くらいの人を拾いたいなと。 |
―――拾ってますよね(笑) 拾われた人ビックリしそうなくらいのツイート拾ってますよね。
小粥さん | 恐っ!みたいなね(笑) |
生き物について(できるだけ迷惑にならない程度に)伝えたいという小粥さん
何気ない疑問ツイートを拾われてビックリした人も多いかもしれませんが、ご安心ください。中の人はこちらの生き物博士ですよ!
ちなみにこの活動は、「Twitterで生物多様性普及活動」と名付けられており、生物多様性アクション大賞2015入賞、第4回Good Life Award実行委員会特別賞も受賞されています。
また、この活動から集めた過去7年間で小粥さんが答えた野鳥の名前データ、計14,348件から作成されたのが、「身近で気になる野鳥ランキング Best50」(https://hamamatsu-sci-museum.note.jp/n/nb8a3ba97797c)。今回観察した鳥たちを含む50種類の鳥が、回答の多かったランキング順で紹介されています。
小粥さんのツイッター
OKAYU @OKAYU284(https://twitter.com/OKAYU284)
浜松科学館もさることながら、そこで働くスタッフ一人一人の魅力もぜひとも一緒に楽しみたい!
鳥を知ると世界が広がる!
これまでそこに存在するけど認識していなかった生き物。
その姿と名前を知ると急に知り合いになったかのよう。
誰だか分からない声だったものが「あら、○○さん? 今日も元気ね」みたいに、世界が急に色づきます。
今回は鳥だけでしたが、生き物博士の小粥さんは昆虫もみんな知り合いだから世界が鮮やかなのかなとか思ってしまいました。生き物を知れば知るほど世界に友達が増えるのかな。
鳥との出会いは一期一会
訪れるタイミングが一瞬ズレていただけでも出会えなかった鳥かもしれないと思うと一羽一羽との出会いが感慨深い。現に週5通ったけどコウノトリには出会えませんでした。
やや夜型人間の私は、鳥目当てだと必然的に午前中に散歩をすることになるので、夜型人間から朝型人間になれそうな健康趣味を見つけたな(ラッキー)という気分でもあります。
お散歩メインの人でも、ちょこっと鳥に目を向けたらきっと楽しい。
バードウォッチングの世界への入口はそこらじゅうにありますから!
ハマラボスタッフだけでバードウォッチングに挑戦!
私たちは自力で鳥を見つけられるか……
後日、ハマラボスタッフだけでバードウォッチングに挑戦しました。
何種類増やせたのかご報告!
7種増えましたー!
そして立ちはだかるカモの壁。
カモは種類が多い上にオスメス、季節によっても見た目が違うため一部は全然見分けられませんでした。
個人的には、水鳥ならカイツブリ派。(カイツブリも夏と冬で見た目違うの困ります。)
澄んだ水だと水中をものすごいハイスピードで泳ぐカイツブリを目撃できて楽しい。魚と勘違いする速さです。
バードウォッチングのあとのご飯はついつい鶏肉だらけに
この記事を書いた人
- 文鳥を飼っています。
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