久留女木の棚田と竜宮小僧の伝説を探る
公開日:2017/11/16
久留女木の棚田とは、北区引佐町にある傾斜地に作られた水田です。「少年自然の家」がある場所としても知られる観音山の南西斜面、標高250m付近に展開しています。
その総面積は7.7haにもなるのだとか。
最近では、高根城跡と同じく2017年大河ドラマのロケ地に選ばれ、浜松市の新たな観光地として注目されていますよね。
今回はそんな久留女木の棚田を調査。久留女木に伝わる伝説から、大河ドラマでの扱いまで調べてきました!
久留女木の棚田とは?
久留女木の棚田へは、浜松市街地から車で1時間ほど。
駐車場は、棚田から徒歩8分ほどのところにある旧久留女木小学校を利用します。
現地付近には案内看板がたくさん設置されているので、迷うことなく到着することが出来ました。
久留女木の棚田の起源は平安時代末期といわれていますが、新田の開墾が進んだとみられるのは戦国時代。
井伊直虎の祖母、浄心院が、戦死した夫・直宗を弔う菩提寺「如意院」を建立したため年貢が減免されたことに起因します。
井伊家の庇護を受け広がった棚田は、現在も井伊家の家臣の末裔の方が耕作を続けていらっしゃるそう。
西門から入る形で棚田に到着。
稲刈りが終わり、水は張られていませんでしたが水平に保たれた田が規則的に並ぶ様子は見ごたえがあります。
棚田の周りは舗装路が整備されており、見学の際はそこを利用します。
7.7haに展開された水田はおよそ800枚。
その美しい景観は「日本の棚田百選」や「静岡県景観賞」にも選ばれているのだとか。
夏、青々と稲が揺れる景色も見てみたいものです。
大河ドラマにも登場、竜宮小僧ってなに?
久留女木を流れる都田川には「竜宮小僧の伝説」が語り継がれています。
"久留女木を流れる久留女木川(都田川上流)には竜宮に通じるとされる深い淵がありました。 村人が、人手が足りず困っていると、その淵から小僧が出てきて、農作業を手伝ったり、洗濯物を寄せたり、と村人を大変助けてくれました。名前を名乗らないその小僧はそのうち「竜宮小僧」と呼ばれるようになり、小僧も村人もとても仲良くなりました。 しかし、あるとき、小僧に食事を御馳走しようとした村人が、誤って小僧の苦手な「蓼汁(たでじる)」を飲ませてしまったところ、小僧は一口飲んだとたんに「久留女木の中茂にある榎木の下に葬ってほしい」と言い残して死んでしまったのです。 村人はたいへん悲しみましたが、亡骸を言われた通りに榎木の下に葬ると、その木の根元からこんこんと水が湧き出しました。その水を利用して作られたのが久留女木の棚田です。 困っている人に手を差し伸べ、見返りも求めず、死してなお村に恩恵を与える竜宮小僧に、久留女木の人々は今も感謝の気持ちを込め、供物をして手を合わせています。" 「竜宮小僧の伝説」
竜宮小僧から湧き出した水
棚田を上っていくと森の中に入る道があり、竜宮小僧が葬られたというあたりまで歩いて向かうことができます。
竜宮小僧の正体は河童だとする言い伝えもあるそう。
大河ドラマの中では、川に飛び込んだときに助けてもらう、馬に飼い葉をあげてもらう、など、何度か竜宮小僧に助けられたおとわ(直虎)が、南渓和尚に「竜宮小僧のしわざかもしれぬ」と聞かされるシーンで初めて登場します。
その後、おとわ、亀之丞(直親)、鶴丸(政次)が竜宮小僧探しに出かけたり、亀之丞がおとわに「おとわは、俺の竜宮小僧になってくれるのか」と尋ねたり、と多くのシーンで登場する、キーワードとして使われていました。
大河ドラマの中の久留女木の棚田
大河ドラマのロケ地となった久留女木の棚田。
ドラマの中では、隠し持つ井伊家の財源、「井伊家の隠し田」として扱われ、第7話では井伊谷で実施された大規模な検地に対して、田を隠し通すため直虎が奮闘する様子が描かれています。
また、撮影最終日も久留女木の棚田で迎えたとのこと。主演の柴咲コウさんが「ここで撮影できることは喜ばしいこと」とインタビューに答えている様子は、ニュース番組などでも取り上げられていました。
久留女木は竜宮小僧に井伊家の隠し田と、「直虎ゆかりの地めぐり」には欠かせないスポットとなったようですね。
棚田をぐるっと一周したところで、今回の調査は終了です!
調査を行ったのは11月の夕暮れどき。
夕日でオレンジ色に染まった棚田はとてもきれいでした!
竜宮小僧の伝説も、切なくもありますが素敵ですよね。
見学は可能ですが、棚田は私有地なので、公式ホームページや現地の注意事項を必ずご確認くださいね。
季節ごと変わる美しい景観。ぜひ実際に足を運んでご覧ください。
この記事を書いた人
- 浜松を愛し、浜松に愛されることを目指して日々研究に没頭中
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