ダムのちから!都田川ダムについて真面目に調べてみた

ダムのちから!都田川ダムについて真面目に調べてみた

浜松市北区

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ダム、それは梅雨や台風シーズンには水害から市民を守り、雨水を貯めて夏場の水不足に備えるなど大活躍する治水のヒーロー!

いなさ湖と都田川ダムに行ったので、ダムについてちょいと調べてみたら、なんとまぁ奥が深い。調べると止まらなくなっちゃいましたよ。
ということで、ちょっとディープなダムの話題をお送りしてまいります。

「都田川ダム」と「いなさ湖」の誕生

ダムのちから!都田川ダムについて真面目に調べてみた|ハマラボ[ハママツ研究所]

都田川ダムは、洪水防止、浜名湖周辺の農業用水、生活飲料水の確保をする多目的ダムとして造られました。 1971年(昭和46)から建設をはじめたダムは、16年の歳月を経て1986年(昭和61)に完成。
都田川ダムの貯水が始まったことにより誕生した人口の湖は、当時の町長により「いなさ湖」と名付けられました。

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このあたりの湖岸を見ると人工の湖だとわかりやすい

ダム用語を使って解説してみる

以下、ダムに全然詳しくない人間によるやさしいダム解説!

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いなさ湖の南側に位置する都田川ダム。
都田川ダム駐車場から歩いてすぐに、いなさ湖を一望できる展望スポットがあります。

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ここからいなさ湖を一望できる

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都田川ダムのかたち

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中央コア型ロックフィルダム

都田川ダムは、粘土を使用し不透水層にした中心部に現地の土や岩を積み上げて造られた中央コア型ロックフィルダムという形式です。

※堤体(ダム本体)の安定場強度が必要な部分の材料に大きな砕石を用いたダムをロックフィルダムと言います。

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ロックフィルダムなので岩がゴロゴロ、植物もさもさ

ダムの高さは55m、長さ170mで、約70万㎥の盛土がされています。

ちなみに、 ダムの高さ日本一は富山県にある黒部ダム(アーチ式コンクリートダム)で、高さ186m。 世界一(予定)はタジキスタンで建設中のログンダム(ロックフィル+アースダム)で、完成すれば335mの高さ。東京タワーより高い!

都田川ダムのてっぺん

ダム堤体の一番上部は天端(てんば)と言い、人が通ることができます。

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都田川ダムの天端は車も通ることができます(関係車両以外通行禁止)。

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車通りまーす

都田川ダムの設備

天端を真っすぐ進んだところにあるのが都田川ダム管理事務所
管制塔みたいでカッコイイと評判のようです。

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ダム湖側、オレンジ色のブイの向こう、斜面に見える建物からダム湖に伸びる線路のような部分をインクラインと言います。 

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インクライン

一般的にはダム建設工事の際に活躍する設備で、ダムの斜面に沿って軌道を設け、重機やコンクリートを運搬します。

ダム完成後に撤去される場合もあれば、インクラインに観光用ケーブルカーを設置しているダムもあります。

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取水設備

インクラインとは別にもうひとつある建物は取水設備。取水設備は必要に応じてダムから取る水を選択する設備です。

ダム湖の水は表層・中層・下層で温度や濁度などが異なるので、必要に応じて取水する高さを変え、深さにより異なる性質の水を目的に応じて取ります(農業用水ならば温かい水の方が作物の育成によいので、太陽の熱で暖まった表面近くの水を取水するなど)。

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天端から見える釣り人

ダム湖内のオレンジ色のブイから手前は、ダム放流施設や取水施設の開口部があり危険なため立ち入り禁止です。

都田川ダムの水の量

この日は至っておだやかなダムの水位。

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ダム堤体、斜面の中腹にある看板は洪水時水位を表示しています。
洪水時水位とは、ダムによって一時的に貯めることができる最高の水位です。

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これが限界やー

EL. 110.5m
EL.はエレベーション、標高の略。
海抜標高110.5mが限界や、という表示になります。

都田川ダムの総貯水量は1,202万㎥、有効貯水量は1,034万㎥
※総貯水量はダムに貯めることのできる水の量、有効貯水量はダムに貯まる土砂の量を除いて実際に貯めることのできる水の量 です。

ということは、洪水時水位の標高110.5mギリギリやねんという時のダムの水量は約1,034万㎥。 25mプール(長さ25m、幅13m、深さ1.5m=487.5㎥)で例えると、約21,210個分!

うーん、例えてみたけど規模が大き過ぎて全然想像できません。

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この日の水位

ダムが渇水と洪水の時期以外に常に保たれる水位を常時満水位と言い、都田川ダムでは平常時、常時満水位101.2mが保たれるようになっています。

雨が降ればそれだけ水位は上がるので、ここ数日の梅雨中の大雨により現在の水位は変動しています。都田ダムの水位はリアルタイムで確認できるサイトがあるのでついつい見てしまうのですが、数日前に見た際には一度「105」の数値を越えていました。

どのくらいの雨が降ったら水位が1m増えるのか…。調べると分からないことが多いのでダムの方にお話を聞きたくなります。

都田川ダムのテレメータ水位/川の防災情報・国土交通省
http://i.river.go.jp/_-p02-_/p/ktm1201020/?mtm=0&swd=&prf=2201&twn=&rvr=85277001&den=0563300400087&_xpxi=yR5lOwQ1Q9K6OCxYGrhlT6…

都田川ダムの放流設備

管理事務所のすぐ横にある橋からは、ダムの放流設備を見ることができます。

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八平橋(はちべいばし)

ダムに貯めた水を下流に放流するための設備の中で、特に大雨などで上流から流れてくる水量が普段より多くなったときに水量調整の目的で放流するための設備を「洪水吐(こうずいばき)」と言います。なお、取水設備から取った水を流すのはまた別の放流口があります。

「洪水吐」、文字通り洪水を吐くものだろうと思っていたので完全に勘違いしたのがこちら

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洪水吐と勘違いした放流管

洪水吐ではなく「放流管」と呼ばれる設備だそうです。

左奥の丸みを帯びたコンクリート壁が洪水吐だったようです。
いや、ほとんど写ってませんね。完全にダム知識が足りておりませんで。

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ダム湖側から見ると、向こう側のコンクリートの下の方のトンネルが放流管の場所。コンクリート壁の低い方が常用洪水吐、高い方が非常用洪水吐です。

洪水吐は、水位がその高さを越えると自動的に流れ出す自由越流式。まずは低い方の壁を超えた分から流れ出るようになっており一気に越流することを抑えます。

・放流管の位置は標高101.2m(常時満水位と同じ)
・常用洪水吐の壁は標高108.0m
・非常用洪水吐の壁は標高 110.5m(洪水時水位と同じ)

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こっちは放流管

ひたすら放流していた放流管
都田川ダムの特徴的な放流設備だそうです。常用洪水吐の前に活躍する設備らしいのですが、どう活躍しているのか、またしてもダムの人にお話を聞きたいところです。

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ラジアルゲート

水が出てくる部分、赤い水門をラジアルゲートと呼びます。 ラジアルゲートは扇型の水門のことで、扇の中心を支点として上下させ開閉する構造のゲートです。

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導流部

こちらは下流の様子。 洪水吐の一部で導流部と呼びます。ダムから流れ出た水を下流の構造物へと導く部分です。左側が放流管から出た水、右側が洪水吐から出た水が流れます。

都田川ダムの監査廊

ダムには監査廊と言う、ダム堤体内部にあるダム施設点検用のトンネルがあります。駐車場からすぐ、ダム概要看板の後ろにある建物が入口。

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駐車場からすぐのとこ

普段はもちろん立ち入り禁止の監査廊トンネル。見学会を申し込むと入れるようです。
※見学会の予約は、原則として10名以上の団体を対象。

都田川ダムの下流側の様子

ダムの下流側には山林が広がっています。 山間に小さーく見える橋は「久留女木橋」。

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久留女木橋が見える

都田川ダムは、山側の堤体に「みやこだ川」という文字の植木があるのですが、久留女木橋からは「みやこ」までしか見えませんでした。

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久留女木橋の上から撮影

山の緑が元気過ぎるからか文字の全貌は見えませんでしたが、久留女木橋からはダム下流の様子が見られます。

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ダム下流にはやたらとブロックが多いのですが、水流により川底を削られるのを防いだり、川の流れを緩やかにしたりという役割があります。上の画像、水の落差がある所には、横に「魚道(ぎょどう)」という魚などの生物が遡上するための階段を設置してあります。

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少しでも流れを穏やかにしてから、さらに下流へと流れて行く

都田川ダムのちから「過去最高水位」

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いなさ湖西側の親水公園

都田川ダムの実力は如何ほどか、これを見るとわかるのではないでしょうか。

こちらは、いなさ湖西側にある公園施設の親水遊水階段
1991年(平成3)9月19日に記録した過去最高水位が、標高108.79m

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ここが過去最高水位

過去最高水位では、都田川ダム常用洪水吐の標高108.0mを越えています。非常用洪水吐の標高110.5mにはまだなんとか達していない状態。

これがどのくらいだったかと言いますと…

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ここまで!

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あそこまで!

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あんな所まで!

過去最高水位では、あんなに高い親水遊水階段の上の方までもが水に沈んでしまったということです。

親水遊水階段ならぬ浸水遊水階段ですな。

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普段はこんなに穏やか湖なのに、恐ろしい!
否、ダムがなかったらその水が全て下流に流れているので、もっと恐ろしいですね。

いなさ湖の東側も水の底?

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いなさ湖東側の親水公園には、おしどり橋と冬季にはオシドリが飛来する島があります。

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おしどりばし

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わりと水面から近い吊り橋

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めちゃめちゃ水面から近い親水公園のはじっこ

ご覧いただくと予想できるかと思いますが、この島もおしどり橋もダムの水位が上がるともしかして沈むのでは? 過去最高水位からするともしかしなくても水の底確定ですね。

またしても親水公園ならぬ浸水公園ですな。

オススメ!

結果報告

都田川ダムといなさ湖よ、ありがとう。
浜松市民の生活はいつも大変お世話になっております。近年は梅雨時期ともなるとゲリラ豪雨が多発して水害が心配です。此度の梅雨の間もどうぞよしなに。
ダムの水位が上がった際には、どこまでいなさ湖の底に沈んでしまうのか見たいような恐いような…否、わたしは見たいぞ。(安全第一)

今なら質問を携えてダム見学会に乗り込めるのですが、見学会を申し込む仲間が10名以上いません!

おまけ
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いなさ湖の西側、東側ともに駐車場から湖に向かう道にある車止め。ここより下は、水没キケン!の意だったのか。

この記事を書いた人

とり
とり
文鳥を飼っています。

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