「お〜!」の掛け声で鬼退治。厄を払う、浜松八幡宮の追儺式(ついなしき)
公開日:2020/02/06
2/3は節分。その前日に「遠州すべての厄を祓う」そんな神事が浜松八幡宮で行われているのをご存知ですか。
その神事を追儺式(ついなしき)と呼びます。
追儺式って何?
「追儺式」は節分の由来にもなった邪気払いの神事。
追儺(ついな)は「おにやらい」とも読み、おにやらいの“おに”は「鬼」。
追儺は古代中国で生まれました。
古代中国には、大晦日の日に方相氏(ほうそうし)と呼ばれる鬼の神様が、国の役人全てを引き連れ、宮中の鬼を追い払った、という伝承があるそうです。
それを神事化したものが追儺式なんです。
方相氏役を務めることを専門とした役職も存在していたようで、その職の名はずばり「方相氏」。
鬼の神様、方相氏ですが、四方八方の鬼が見えるように目が4つもついているそうですよ。
追儺式で方相氏役をする人はクマの皮を被り黄金の四つ目の仮面をつけ、赤黒の衣装に盾と矛をもち、鬼を追いはらいます。
そして、射手が桃の木で作った弓で矢を放ち、鬼=穢れを追い払うというのが、儀式の一連。
これが奈良時代に日本にも伝来。平安時代、宮中行事(皇居において行われる年中行事)にもなり日本に定着しました。
日本の書物で確認できる最初の追儺は「続日本紀」の中。
706年、国で疾病が蔓延し、百姓がたくさん死んだので、土で牛をつくり厄払いをした、との記述があるようです。
9世紀の初頃、追儺の神事をやめたことがあったそうですが、その年じゅう悪い病気が流行したため、また再開されることになったそうですよ。
浜松八幡宮の「追儺式」は、京都の吉田神社から伝授されたそうです。
吉田神社では千二百年ほど前から追儺式を行っているそうです。
なぜ節分は二月にするの?
中国では、大晦日に行われていた追儺。でも、節分は2月ですよね。
なぜ節分を2月に行うようになったのか。
これには、古代中国で生まれた季節の移り変わりを表す「二十四節気(にじゅうしせっき)」という考え方が関係しています。
「二十四節気(にじゅうしせっき)」は、 その名の通り一年を24の節にわけたもの。
春夏秋冬も「季“節”」。
言われてみると、節分にも“節”と言う字が含まれていますよね。
なんでも節分は、当初、年に4回、節の分かれ目の日に行われていたそうです。
季節の変わり目に体調を崩しやすいのは、今も昔も同じなんですね。
かつては、日本でも年に4回、節分が行われていたそうですが、江戸時代の後期にはその風習は廃れていったそうです。
今も残っている2月の節分は「立春 = 春の始まり」に向けての厄払いだったんですね。
実際に浜松八幡宮の追儺式に行ってみた!
追儺式は18:00からのスタート。
時間ギリギリでもあれだからと少し早めに出発し、浜松八幡宮に到着したのは17:45。
すでに多くの人で境内は賑わっている様子。
追儺式でのお楽しみは、 抽選会。
一枚200円の抽選券を購入すると、その場で景品と交換。しかも、ハズレくじなし。
そして、面白いのは追儺式の後。
なんと、 その購入した抽選券でもう一度大抽選会が行われるとのこと。
大抽選会は、豪華商品多数!
私も2枚くらい(※ 一人5枚までです。)買っちゃおうかなと、意気込んでいたのですが…
この長蛇の列!
到着するのが遅すぎた!
列の最後尾に並ぼうとしたところ、係りの人が「せっかく来ていただいたのですが、おそらく抽選券は売り切れてしまうと思いますよ。」とのこと。
後日、「一番先頭の人は3時ごろから並んでいたらしい」との情報を小耳に挟みました…。
気合が違った…!
抽選券を買って
隣のテントですぐに景品と交換。
追儺式前の抽選会は、トイレットペーパーやティッシュなどの生活必需品が景品のよう。
仕方ないので、抽選券は諦めて、もう一つのお目当をGETしに向かいます。
2月2日しか授与されないという厄除け守りをGET!
ご利益のありそうな福豆もいただきました。
さあ、お目当てのものを手にし、あとは神事を見守るのみ。
式を参道、本堂前、雲立楠のまわりで行うため、邪魔にならないようにロープの内側に移動します。
式自体は18:00から。15分ほどこの場で待機します。
だんだん日が落ちてくると、炎が焚かれ、境内は“らしい”雰囲気に。
18:00。アナウンスとともに式が始まりました。
まずは白い衣装を身にまとった上卿役(この式を取り仕切る先導の役)の方々が登場。
すみません。ほとんどの写真が手ブレしてまともな写真がこれしかありませんでした…
それに続き、式に参加する方々が本堂前に入場。
写真の矛を持った神様が、本日の主役、方相氏。
方相氏は、鬼の神様。
伝承どおりの赤と黒の衣装です。
続いて、赤、青、黄の鬼が登場。
神事の前に神様にお祈りし、お供え物をします。
境内に祝詞が響きます。
お供え物は、福豆、ほおずきの実、餅。
福豆
ほおずきの実(ほおずきは漢字で鬼灯。鬼と言う字が入っていますね。)
餅
祝詞が詠みあげられた後、いよいよ儀式が始まります。
境内を移動し暴れる鬼たち。
追儺式を始めた当初は、鬼の役はいなかったそうですが、鬼が見えた方が分かりやすいだろうということで、今では鬼の役も儀式に参加するようになったそうです。
ちゃんとトラ柄のパンツ履いてます
暴れる鬼を追い詰める方相氏
追い詰められた鬼たちは負けじと「おー!おー!」おー!」と声を張り上げます。
その掛け声に対し、方相氏も大きく力強い声で「おー!おー!」おー!」と応戦。
白熱のバトル
その後も境内を暴れながら逃げ惑う鬼の反撃に方相氏も応え、見事に鬼を追い払いました。
強い〜!
鬼の退散後に魔除けの矢が観衆に向けて放たれます。
この矢は魔除けの不思議な力がこめられており、 見事にキャッチできたらこの一年のお守りになるので、キャッチしようと手に力がこもります。
矢は残念ながら取れませんでした。
近くまで飛んできたのですが…無念!
無事、鬼を追い払い、矢も放たれたところで神事は終了。
儀式が終了すると観衆は皆でぞろぞろと抽選会場へ移動。
この熱気!
抽選券を買いそびれた私の追儺式はここで終了。
大盛り上がりだった浜松八幡宮の追儺式。
日の暮れた境内に、煌々と燃える炎、ちょっと怖い鬼たちに、凛とした方相氏。
来年は魔除けの矢をキャッチできるといいな〜!
あと、抽選券を買うために早めに家を出よう、と心に誓いました。
次の日の豆まきにも行ってきました!
豆まきは少し早めの16:00から開始。
「こっち!」「こっち!」と歓声が飛び交い私を含め全員が本気モード。
なんとかひとつは拾えました!
この記事を書いた人
- 猫と一緒に暮らし始め、猫アレルギー疑惑が払拭されました。猫の毛ってすごい空中に舞いますね。ふわふわ。
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