シルクロード文化を直接感じる博物館

シルクロード文化を直接感じる博物館

磐田市

シルクロード文化を直接感じる博物館 シルクロード文化を直接感じる博物館 シルクロード文化を直接感じる博物館

磐田市上野部にある「シルクロードミュージアム」。
シルクロードミュージアム周辺は、川のせせらぎや鳥のさえずりなどが聞こえてくる、山に囲まれたのどかなところ。
館内では、紀元前三十年ごろから十五世紀ごろまでの彩文土器や、陶器、仏像、コインなどシルクロードに関係する、大変貴重な美術品を数多く展示されているようです。

しかし!とある噂によると、建物も展示方法も従来の博物館とは少し異なるとのこと。
一風変わった博物館、シルクロードミュージアムとは一体どのような施設なのか、調査してきました!

シルクロード文化を直接感じる博物館|ハマラボ[ハママツ研究所]

展示の舞台“古民家施設”の歴史

門をくぐり敷地内に足を踏み入れると、歴史的な風格を感じる大きな古民家と素敵な日本庭園が広がっていました。

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この建物は300年以上前に建てられた、歴史ある『豪農の古民家』を改装して博物館になったのだそう!
これほど古い建物は、国内でも珍しいといわれており、建物自体にも文化的魅力があります。
また、神社仏閣の建築と同じように、釘を一本も使わずに建てられているのだそうですよ!
釘を使わずにこんなにも長い時代を経ているとは・・・!すごい・・・。

敷地内も広く、日本庭園も立派で和を感じさせる佇まい。

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花壇に植わっている可愛らしいお花や、大小様々な岩の配置、松などの観葉植物、置物・・・隅々まで丁寧にお手入れなどが行き渡っており、とても素敵な空間でした!

まさに、展示品の舞台である“博物館そのもの”も作品のひとつですね。

館内へGO!

昔ながらの引き戸式の玄関(入り口)から入り、入館料を払っていざ館内へ。
「ようこそ」と優しく出迎えてくださったのは事務局長の丸尾さん。
そのまま館内、そして展示品の案内をしてくださいました。

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この日はちょうど学生さんが見学に来ていました!

館内は落ち着いた和室。
暖色系の照明と木造平屋が趣のある、癒しの空間を創り出しています。

注目すべきは窓ガラス。

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歴史ある古民家にふさわしく、一部の窓ガラスは明治時代に作られたものなのだそう・・・!
100年以上も前に造られたガラスにも関わらず、とてもきれいな状態で保たれていました。
お手入れや保存状態がきちんとされているからこそ、こんなにきれいな状態を保っているのですね。
「当時のガラスは今のように平らなガラス造りはできなくて、少し凸凹しているのが特徴」とのことなのでじっくりと見てみると・・・

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発見しました!微かに凸凹としています。
このような窓ガラスは今となっては貴重なものだそうですよ。

窓ガラスの近くにこのような展示品が!

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とっても大きな電球・・・?!
・・・と、思いましたがどうやら全く違うようです。
こちらの展示品は「スーパーカミオカンデ」という、世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置。

「ニュートリノ」と呼ばれてる最小の粒子が、水の中を光速に近い速度で通過するときに発する「チェレンコフ光」というものを観測するのだとか。(Wikipedia調べ)
ノーベル賞を受賞しており、浜松ホトニクスも研究開発に大きく携わったことから、ご存知の方もいるのではないでしょうか。

このようなものを直接お目にかかれるなんて・・・!と思っていると、このスーパーカミオカンデがシルクロードミュージアムに大きく関わっていることが分かりました。
実はシルクロードミュージアムを運営しているのは、「浜名梱包輸送株式会社」という、貨物の運送などを行っている会社。
浜名梱包輸送株式会社さんが、このスーパーカミオカンデの運送を行ったことで、この博物館に展示されることになったのだそう。
シルクロードミュージアムの館長、鈴木鐵男さんは、浜名梱包輸送株式会社の代表取締役会長で、館内展示品の数々は、鈴木さんのコレクションとのことでした。
博物館を開くほどの古美術品が個人のコレクションとは驚きです・・・!

“作品に触れて感じる”

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通常の博物館や美術館では、ショーケースの中に展示品が入っていてロープなどで近づける距離も限られていたりします。もちろん、展示品に触れることができる博物館など滅多にないでしょう。
しかしシルクロードミュージアムでは、半分以上の展示品が直接触れられる展示方法になっています!
ショーケースに入った作品も、背面に鏡があることで普段見ることが出来ない裏側まで見られるようになっていますよ。

そこには、“見るだけでは分からない素材の違いや厚み、繊細さ、彫刻の力強さなどを触ることによって、新しい発見が見つかりより楽しめるかもしれない”という、館長、鈴木さんの作品や文化に対する想いがありました。

まずは直接触れられる展示品からご紹介します!

壷の記憶

シルクロード文化を直接感じる博物館|ハマラボ[ハママツ研究所]

こちらは、磐田市在住の作家、山本真理さんの作品です。
「どうぞ触ってみてください」と仰っていただいたので触ってみると・・・
なんと陶器でできている作品でした!
温かみのある色や表面の模様から、てっきり木で作られていると思っていました・・・!
指を曲げてノックするように軽くつついてみると、「カンカン」ときれいな音がなりました!

重い?軽い?木で造られている机と金庫

「壷の記憶」のすぐそばには重厚感がある机が。

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中央のガラス部分は本来火鉢を入れるところ。
サイドにある丸い取っ手が付いた部分には、小物が収納できるようになっています。
机の胴体部分にも何ヵ所か取っ手がついていて、開けて中を見させて頂きました!

こちらも木で造られた金庫。

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船用の金庫で、万が一船が転覆した時でも金庫だけは沈まないよう、閉めるときは密封状態になり、空気が逃げない構造になっているのだそうです。
そして重さは先ほどの机くらいあるのだとか・・・!机もだいぶ重そうに見えましたが、机よりも小さな金庫がそんなにも重たいとは驚きです。

「金庫」ということで、どっしりと重たくもありますが、ただ重たいだけではなく水の中には沈まない、船用の金庫ならではの構造で造り込まれたなんとも興味深い金庫でした!

舗床モザイク(一部)

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大きなこちらのモザイクは、美術史のみならず歴史的・社会的にもとても貴重な資料だそうです。このモザイクが作られた時代には、動物や鳥を描くことが流行していたのだとか。
間近で見ることができるからこそ、一つ一つの小さな石の色が、微かに違うのが分かります!
石の表面はつるつるしていて、ひんやりとしていました。

菩薩立像

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鼻が高く、彫りが深いギリシャ人を思わせる顔立ちの弥勒菩薩立像。
菩薩は悟りを開く為に、修行している様子が表現されているそうです。その表現は文化によって様々だといわれています。
この時代は、「髭がなければ一人前の男でははない!」という風習もあったのだそう・・・!腹筋も見事に割れています!
今までこのようなお顔をした菩薩像を見たことがなかったので、とても新鮮・・・。

そして注目すべきは、菩薩像の背面。
通常、西洋菩薩などは壁を背後にして置かれているので背面を見る機会は中々ありません。
どのような風になっているのかはぜひご自身の目でお確かめください!

シルクロードミュージアムの魅力は、これらの展示方法だけではありません。
他の博物館では見られない、貴重な作品や、歴史、文化を感じさせる作品が数多く展示されています。
ここからは「珍しい&文化を感じる作品」を紹介いたします!

“珍しい&文化を感じる作品”

大変貴重な作品であったり、壊れやすいという理由などからショーケースに入っている作品が多いのですが、後ろは鏡張りになっていたり、ショーケース越しから間近で見ることが出来ますよ。
中でも珍しい作品、歴史が面白いと思った作品を紹介いたします。

塔の器(再現ラスター彩)

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こちらの作品は、金箔をはり付けたのではなく、“釉薬”という薬で塗ったものだそうです。
光に当たると虹色っぽい輝きが見えるのですが、丸尾さんいわく、「この光によって生まれる虹色は、なかなか再現できないとても難しい技法。」とのこと。
こちらも完成までに約18年かかった幻の作品だといわれています。

銀化した古代ガラス

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こちらの二つの作品は、古代ガラスが長い間土の中に埋まっていたことにより、ガラス質と土が化学反応を起こし、透明だったガラスがこのような色に変化したものなのだそう!
この現象を「銀化現象」と呼び、左のガラスは美しい色に変化しましたが、右のガラスは黄みがかったくすんだ色になってしまいました。
こういった違いは埋まっていた「土」に関係し、ガラス質と土がうまい具合に化学反応を起こすと左の作品のように美しい色に変化することもあるのだとか。

元々は透明だったなんて信じられません・・・!

中にはこんな作品も。

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こちらは「アンゲンタリューム」という二連瓶です。
花器かな?と思っていましたが、二つ連なった穴に香油を入れて、香りを楽しむ道具なのだそう!
人間の鼻は二つの穴が開いているから、二連になっているのだとか・・・
理由を聞くと「なるほど・・・!」と納得がいきます・・・!

デフォルメされた動物デザイン

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左の、魚が絵描かれているお皿は紀元前3000年前ごろに。
右の、可愛らしく豹が描かれている壷は紀元前2500年ごろに造られたものだそう!
当時、魚は“多産のシンボル”とされ、デザインに使われることが多かったのだとか。

昔の方はとても柔軟なデザインセンスを持っていたことが伺えますね!

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さ、魚―!お金も魚をモチーフにしたデザインになっていたようです!
当時のお金は大きく、持ち運ぶのに不便だったため、あまり持ち歩くことはなかったのだそう。

大昔の方の、「お金」に対する概念はもしかしたら今とは全く違うものかもしれないな、という考えを募らせつつ、このように当時の文化に思いを馳せたりすることが、「新しい発見から文化を楽しむ」第一歩なのかもしれないと思いました。

結果報告

実は私自身、美術品や芸術品というものにはあまり興味がなく知識も全くありませんでした。
しかし、いざシルクロードミュージアムへ行き、一つ一つ分かりやすく説明をしていただくうちに、「美術品・文化の歴史」への見方が大きく変わりました。

作品に込められた、作家さんや昔の方の想い、昔の文化や風習、などを、知識が全くない私でも美術品を通して楽しむことができたのはやはり、他の博物館では体験できない展示方法や、案内してくださるスタッフさんがいるからこそだと思いました。
ぜひ皆さんも足を運んでみてくださいね。

この記事を書いた人

ハママツ研究所
ハママツ研究所
浜松を愛し、浜松に愛されることを目指して日々研究に没頭中

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