秋葉信仰ってなに?秋葉山本宮秋葉神社を知る
公開日:2017/12/12
天竜区春野町、秋葉山。
赤石山脈の南端を占める標高866mのこの山に、江戸時代、全国的な流行を見せた「秋葉信仰」の起源となった神社があります。
今回は秋葉山本宮秋葉神社を調査!秋葉信仰の歴史から御祭神「火之迦具土大神」のご利益まで、お参りの予習にぴったりな情報をご報告いたします!
秋葉信仰の起源、秋葉山本宮秋葉神社
秋葉神社の創建時期には諸説ありますが、秋葉山は古より神体山・霊山として仰がれており、その後仏教や修験道が入ることで神仏習合の霊山として発達してきました。
神道・仏教・修験道が入り混じった歴史を、わかりやすく年表にまとめてみましたよ!
木造建築が主流で火事が多かったとされる江戸時代、全国的な流行を見せた秋葉信仰でしたが、明治元年(1868年)、明治政府によって神仏分離令が発布。神仏習合である秋葉大権現も分離を迫られました。
秋葉大権現は「神」「仏」いずれかだけでなく、「修験派」と「僧派」の対立もあり決着は容易にはつきませんでしたが、明治5年(1872)に教部省は秋葉権現を修験道の天狗「三尺坊」とは異なる鎮守と判断、祭神名を火之迦具土大神(ひのかぐつちのおおかみ)とし、秋葉山を神道の秋葉大権現(現・秋葉神社)と仏教の秋葉寺に分離しました。
その際、名前も秋葉大権現から秋葉神社に改称されています。
厳かな雰囲気の下社
こうして火の神、火之迦具土大神を祀る神社となった秋葉神社ですが、その境内が下社と上社の2つに分かれているのはご存知でしょうか。
秋葉神社へと改称後、第二次世界大戦中の昭和18年(1943年)、秋葉神社は山麓から発生した火事のもらい火によって、本殿東側の山門を除くすべての建物を焼失しました。
戦中戦後は再建も容易ではなく、その中で祭祀を継続するため、山麓に造営されたのが下社です。
大きな灯篭が並ぶ階段を上ると、境内はとても厳かな雰囲気。
本殿は昭和61年に再建された上社本殿よりも小規模ではありますが、歴史を感じる佇まいです。秋葉神社に参拝される際はぜひ下社も訪れてみてくださいね。
下社から上社までは、徒歩で90分、車で40分程度の道のり。秋葉山の自然を感じながら、徒歩での登山を楽しまれている方もたくさんいらっしゃいました。
秋葉神社上社へ御参り!
上社まで車で向かった際、駐車場に車を停めてまず見えるのは、この大鳥居と狛犬。
狛犬は、少しコミカルで可愛らしいお顔です。
ここから階段を上り、本殿までは15分ほど。途中、西ノ閽(かどもり)の神門を通ります。
神門の四隅には、青龍・朱雀・玄武・白虎の四神の彫刻が施されていました。
ここを抜けると、本殿はもうすぐ。
名物しいたけそばや秋葉山のお土産を販売する秋葉食堂、お守り、おみくじがそろった社務所を横目に、さらに階段を上ります。
本殿すぐ近くの黄金に輝く鳥居に到着。こちらは平成5年(1993年)に、皇太子殿下のご成婚を祈念して建立したものです。井伊家寄進の金銅鳥居があったことに因んで黄金に塗られ、混迷の世に人々が幸福であるように、との願いが込められているそうですよ。
鳥居の奥に見えているのが、いよいよ本殿です。
火防神社のご利益とは?
こちらが秋葉山本宮秋葉神社上社の本殿です。
御祭神は前述したとおり火の神、火之迦具土大神。秋葉山に鎮まる神として、「秋葉大神(あきはのおおかみ)」と称されることもあります。
火の神、鍛冶の神として信仰されているほか、「古事記」では火之迦具土大神の血や死体から、鉱山・農耕・工業、金運・招福などの神を多く生み出したことから、金運や招福の神としても知られています。
火之迦具土大神のご利益・ご神徳
- 火災消除
- 工業発展
- 厄除開運
- 商売繁盛
- 郷土守護
多くのご利益がある秋葉神社ですが、やはり根本は古来信仰されてきた火防及び火そのものに対する信仰。消防団や、火を扱う職業の方々の参拝が多いそうですよ。
天狗の山?
参拝を終えて社務所を見ていると、こんな可愛らしいものを発見しました。
天狗の厄除けおまもりに…
天狗さまみくじ!
その他にも天狗の面や天狗の皿投げおみくじなんてものもありました。
実は秋葉山は天狗が棲む山としても知られており、神仏分離以前は秋葉信仰の対象でもありました。
修験道に伝わる、秋葉山の修験者「三尺坊」は、秋葉山で修行を積み、後に「秋葉三尺坊大権現」という天狗になったといわれ、神仏分離後は曹洞宗可睡斎や秋葉山中腹にある秋葉寺で祀られています。
天狗モチーフのおまもりやおみくじは、神仏習合時代の名残なのかもしれませんね。
天空の社からの絶景
本殿は、秋葉神社上社の最高域に、秋葉山頂の神域を背にして鎮座しています。
標高866mから見下ろす山々
山頂からの眺望は東海一とも言われており、天気が良ければ袋井市のエコパや、浜松駅近くのアクトタワーまで見渡すことが出来るのだとか。
黄金の鳥居と青空のコントラストが美しく、いつまでも見ていられるような風景でした。
厳かな雰囲気の下社と、圧倒されるような迫力の上社、どちらもそれぞれ魅力的でした。
上社への参拝が有名ですが、秋葉山にいらした際はぜひ下社の歴史ある本殿にもご参拝くださいね。秋葉信仰の歴史や御祭神のご利益、天狗おまもりの由来など、予備知識があると、より面白い神社だと思います。
山頂からの景色は息をのむ美しさでした。ぜひ、足を運んでみてください。
この記事を書いた人
- 浜松を愛し、浜松に愛されることを目指して日々研究に没頭中
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