日本庭園と抹茶を味わう【掛川】清水邸庭園
公開日:2020/10/07
四季折々の自然を感じる日本庭園って良いですよね。
掛川の「清水邸庭園」では、気軽に日本庭園とお抹茶が楽しめます。
掛川の清水邸庭園
清水邸庭園はもともと清水家のお庭。
清水家は江戸元禄時代、船による荷物を取り扱う廻船問屋でした。
1707年(宝永4)の大地震・宝永地震による大規模な地殻変動が発生するまで横須賀には「横須賀湊(よこすかみなと)」と呼ばれる港が存在していました。横須賀湊には横須賀城周辺まで入り江があり、横須賀城築城の際の石材や木材は入り江から陸上げされ、横須賀藩から江戸に送る年貢米なども入り江から海に積み出されていました。
清水家は物流の拠点に位置する横須賀城南側入り江の廻船問屋であり、横須賀藩の御用商人としても重要な地位を占めていました。当時の当主は代々「清水八十郎(やそろう)」を襲名しており、「八十様にはおよばないがせめてなりたや殿様に(やそ様にはとてもなれないが、せめて殿様になりたい)」と俗謡で謳われるほどの繁栄ぶりだったそうです。
当時の繁栄ぶりをうかがえる立派な庭園は清水家から市に寄付され、公園として整備されたのが現在の清水邸庭園です。
表門から庭園に入ろう
表門の駐車場
駐車場(無料)は表門と裏門にそれぞれありますが、お庭に入るならやはり表門からがオススメ。
裏門の駐車場
裏門
裏門の駐車場を利用した場合も、表門から入りたい。
ぜひ表門から入ろう
入園料は無料。
開園時間は10時~16時(木曜定休)。
訪れる時間帯によっても雰囲気がかわりそうです。
表門から入るとまずは小さな石橋、その向こうには回遊式の庭園が広がる。
砂利道が導いてくれる
春には梅の花、夏には新緑など四季折々の表情を見せてくれるます。
瑞々しい緑も美しいですが、秋の落ち着いた雰囲気もまたきっと乙。
秋が深まれば紅葉が色づく
砂利道を進んで行くと、左手には湧水亭という茶亭が。
庭を回ったら湧水亭にお邪魔しようっと
湧水亭の前には立派な枝垂桜。
春にはこちらも目を楽しませてくれそうです。
春には湧水亭前の枝垂桜が咲く
立派な松もある
池泉回遊式庭園といえば、中心にあるのは大きな池。
泳いでいる鯉がよく見えるくらい透明な池の水はなんと湧き水。1991年(平成3)には「静岡県みずべ百選」にも選ばれました。
庭園の中心には湧き水の池
湧き水を巧みに取り入れた庭園といわれているので、どこから湧き水が?と思っていたら、庭園の管理人さんが「池の下から湧き出ていますよ」と教えてくださいました。その昔は目に見えるほどぶくぶくと豊富な水が湧き出ていたそうです。ぶくぶくと湧き出てくる湧き水はお目にかかりたかったな。
このへんなら池の水の透明さがおわかりいただけるだろうか
江戸時代、廻船問屋は積み荷を降ろしたあと、帰り荷として何かしら運んで戻ります。
清水家では帰り荷に各地で生産している石や瓦を積んで帰ることもあり、その石は庭園にも使われているそうです。
江戸中期に造られたといわれている清水邸庭園は整備のために手を入れられてきましたが、池周りと池の中はそのままの所が多いとのこと。もしかして石に詳しい人が見たら「この地域にはないはずの石が使われている」などと気づくのかもしれません。
さて、池の周り散策してみる
階段を上っていくと
現れたのは四阿(あずまや)
秘密基地っぽい
植物が生い茂っていて埋もれ気味だった四阿はさながら秘密基地。草木を刈って見通しが良くなればここからも池を眺められそうです。
池の裏の方は少し足場が悪いのでお気をつけください。
初秋はまだ、やぶ蚊虫にも注意ですね。
石の橋もあるので足元にはご注意を
池の中の小島には渡れる橋があると思いきや
小島へ続く橋は通行禁止
庭園内は池の周りをぐるっと1周することもできますが、砂利道をのんびり歩くだけでも十分景色を楽しめます。
のんびりと庭園の清らかな水辺と自然を満喫したいものです。
湧水亭でお抹茶をいただこう
庭園内にある湧水亭では、庭園を眺めながらお抹茶を楽しむことができます。入館は15時30分まで。
お邪魔します
玄関
秋らしい灯り
玄関にある立派そうなオブジェは、庭園の池で拾った木と石で作ったという「鶴と亀」。
鶴と亀
玄関にお邪魔すると、管理人さんから「こちらへどうぞ」と右の建物に案内されました。
こちらで飲み物を注文するようです。
まずは右側の建物へ案内された
室内にあったのは座るのがはばかれるくらいピカピカなテーブルとイス。鏡面のように美しい仕上がりは、地元で製造しているピアノと同じ漆加工なので傷に強いそうです。
鏡面のように美しい
大須賀海岸の流木で作った茶さじがあったり
横須賀スタンプと清水邸庭園スタンプもある
さてさて、何を飲もうかな。
- ・呈茶(お茶と和菓子)
- ・甘酒
- ・抹茶ラテ
※呈茶は「お抹茶」を提供しているが、月に何回かは「お煎茶」を飲める日があります。
呈茶は正式な茶会ではなく、気軽に楽しむことができるお茶体験。
お茶の作法など細かいことを気にしないでカジュアルにいただけるということなので、お茶に詳しくない私でも安心。
甘酒と抹茶ラテは甘いとのこと
呈茶を注文すると茶室にご案内
呈茶は茶室でいただく
呈茶を注文すると通されたのが玄関の左側にある茶室。
こちらの茶室、貸室として施設の貸し出しもしています。
季節によっては、ホタル鑑賞会や七夕茶会、お月見茶会、初釜茶会などのイベントも開催。
庭園を眺められる
お席は赤毛氈のところ。
畳と縁側のテーブルから選べます。正座がつらい方でも安心ですね。
畳のお席
縁側のテーブル席
こちらでは持ち回りで常駐しているお茶の先生が、お抹茶を点ててくださいます。この日はコロナ対策中のため、お部屋の裏で点てたものをお席に持ってくる方式。
10月2日(金)からは目の前でお茶を点てるサービスを再開予定なので、きっとお茶の先生が楽しみ方を教えてくださいます。
お抹茶と和菓子
この日はまだコロナ対策中。
お茶の先生は配膳後にはまたお部屋の裏に戻られたので、完全に一人で貸し切り状態になった茶室。これはこれで贅沢です。
秋の上生菓子 おそらくは「乙女菊」
日本の秋を象徴する花となる「菊」。
菊の花は仏前に備える印象が強いですが、それはお花の中で一番格式高いと考えられているから。仏様に敬意を払って菊をお供えしています。言われてみれば、天皇家の紋章は「菊の御紋(十六八重表菊)」。日本国旅券にも「菊の御紋(十六一重表菊)」が使われていますね。
テーブル席ならこんな感じ(お盆の向きが逆でした)
あとから調べたら、お茶会の作法によると、お菓子はお抹茶が出てくる前に食べ終えるとありました。お茶もお菓子も同時に配膳だったので、パクリと食べたら一口飲んでのフリースタイル。個人的にはお抹茶で和菓子の甘みが際立って良い感じ。
お抹茶は苦みもあるけど飲みやすい
甘酒は高級漆器でいただく
甘酒を注文すると、この中から選んだお椀を使用してくださるそう。
輪島塗、津軽塗など高級漆器からお好みの器を選べます。
この鶴がきっと高級とオススメする管理人さん
表門から入ってすぐの、青空と緑と白い砂利のコントラストが美しい。入場無料なので気軽にお出掛けがてら寄ることもできてうれしいですね。次はぜひ目の前でお茶を点てていただきたい!
ちなみに庭園の東側にある清水邸の本宅は日曜日のみ見学できるそうです。
管理人さんが建物の裏側部分を見せてくださいました。
これは本宅の裏側、建物内は日曜のみ見学可
本宅はイベント開催会場にも使用されているそう。
これは味噌蔵なのだと
どうやら表の道路から本宅の正面を見ることができたようです。見そびれショック。
けん玉をモチーフにしたイスがあった
作家さんによると、万人のお尻にフィットするイスらしい。
この記事を書いた人
- 文鳥を飼っています。
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