日本四大関所の一つ キビシイ〜取調べ 新居関所(今切関所)
公開日:2021/02/04
しっとりと大人の休日を過ごすのならオススメなのが史跡。
湖西市の定番観光スポット 「新居関所」に行ってきました!
新居関所は、東海道の関所の中でも厳しい取調べを行っていたとされる関所。
そのため、箱根、新居、碓氷、福島で日本四大関所と呼ばれているそうですよ。
全国で唯一!現存する関所 新居関所
旧東海道である国道301号線沿いにある大きな門が目印の新居関所。
JR東海道本線 新居町駅から徒歩10分ほど。
敷地東側には無料駐車場もあり、車でのアクセスも良好です。
駐車場
入り口は駐車場から道路を渡ったところにあります。
入り口
営業時間は、午前9:00から午後16:30まで。
拝観するには拝観料が必要です。
チケットは2種類。
- ・関所構内と資料館
- ・関所構内と資料館、紀伊国屋資料館の共通券
紀伊国屋資料館は、関所のすぐ隣にあった新居宿の旅籠。歴史ある建物を見学する事ができます。
構内を案内しながら解説してくださるボランティアのガイドさんがいらっしゃるとのことで、受付でガイドをお願いすることもできます。 歴史に造詣が深くない(むしろ人並みより浅い)ので、ありがたくガイドをお願いすることにしました。
より深く知りたい方はガイドさんと共に
構内はこんな感じ
まだ、復元途中の建物もある新居関所。
現在の状況はこんなところ。
- 現存
-
・面番所…書院や役人の休憩所や事務所
- 復元済み
-
・船渡し場…停泊所や船に乗るところ
・大御門…関所入り口の大きな門
・女改之長屋(2020年4月 完成)…女性の身体調査のための施設 - 将来復元予定
-
・土蔵…倉庫
・船会所…渡し船の船頭たちの事務所
着々と当時の姿を取り戻しつつありますね。
新居関所はその当時は「今切関所」と呼ばれていました。
浜名湖と海がちょうど繋がる所を「今切」と呼ぶのですが、ちょうどその位置に置かれた関所なんですね。
船渡し場
今は辺りが埋め立てられいるのでピンときませんが、かつては浜名湖に面していた新居関所。
浜名湖の東西を渡っていくには、新居関所を通るしかなかったのだそうですよ。
船着場は約74mにも及んでいたそうです。たくさんの船が停泊していたんだろうなあ。
船着場に打たれた杭。
船を繋いでおくためのものかなと予想していましたが、これは波除けのため。
テトラポッドのない時代の知恵です。
ふと疑問に思ったのが「新居関所ちょっと奥まったとこにない?」と言うこと。
もっと岸のギリギリのところに関所があった方が、船に乗る時間少なくて楽だと思うのですが。
実はギリギリをせめていた時期もあったが
開設当初はもっと今切口の先端にあった関所。今切口のギリギリを攻めた立地が仇となり、暴風雨や高潮、地震や津波で二度も倒壊。
これはやってられん!と三度目の建て直しのときに現在の場所に移りました。
面番所
関所の一番の見所、面番所。
三度目の建て直し以降、潰されずに現存している貴重な史跡です。
明治2年の関所廃止で全国の関所はことごとく取り壊されていった中で、こうして建物が現存しているのはここ新居関所だけなんですよ。(※ 昭和47年に解体修理あり)
思考の浅い私などは「お城だって残っている位だから、関所だって二つ三つ残っていないものか」と思いますが、新政府の政治的アピールも大いにあったんでしょうか、その徹底ぶりに驚きますね。
当時の瓦
当時から大切に修復されながらその姿を残している建物。
瓦屋根を見ると所々、古い瓦を目にする事ができます。特にわかりやすいのが御紋のところ。同じデザインですが、模様が微妙に違う。識者が見れば年代がわかるそうですよ。
公家や大名などの偉い人は室内に通してもらえましたが、平民は外で待機して関所を通る手続きをしました。
上の写真の向かって左にある三つ並んだ石は「荷物石」。旅人が取調べを受ける間、荷物を置くための石です。
中央の看板には、取調べの際の注意事項が記載されていました。
- ・関所を出入りするときは、乗り物の扉を開いて笠や頭巾をとって通過させる
- ・女性の往来は書類を確認すること。乗り物に乗るような身分の高い女性は、こちらから番所の女を出向かせて調べること。
- ・怪我人や死人、不審なものは書類なしで通さない
- ・規定の書類のない鉄砲は通さない
- ・諸大名の往来はあらかじめ知らされている場合は取り調べなくてOK。もし、不審な事があったら誰であれ調べること
面番所の中に入ることができます
番頭の部屋
こちらは関所で一番偉い人の番頭さんの書斎。
普段は滅多に表に出て来ることはなかったそうです。
公家などの地位の高い人には、ここでお茶を出しておもてなししていたとのこと。
こちらは番頭さんの書斎に続く、相之間。
長持(ながもち)などの大きな荷物はここで調べたそうです。
相之間には何故か下座に床の間らしきもの。
ガイドさんの話によると、番頭さんの家系はかつて武田信玄公の家来だったそうで、その床の間に家宝の鎧を飾っていたのでは、とのことでした。
中之間
一番手前にいるのが、番頭を務めた五味六郎左衛門さん。
この五味さんと本陣を営んでいた飯田武兵衛さんが、「旧関所の建物は学校にして有効利用するので!」と上手く立ちまわって下さったおかげで、新居関所の建物は取り壊されずに済んだとのこと。ありがとうございます!
次之間
中之間と繋がるこちらの次之間は、現場でお仕事をする下級役人さんが控えています。関所近くの武家屋敷から毎日出勤してたとのこと。サラリーマンみがあって、親しみが湧きます。
後ろには武器
江戸防衛の要所である関所。
万一の事態に備え、武器の準備は万全。敷地内の土蔵という蔵には武器がたくさん常備されていたとのこと。この武器のお手入れも下級役人さんのお仕事だったそうですよ。
この武器の邪悪さよ
女改之長屋
昨年2020年の春に完成した女改之長屋。 お邪魔しま〜すと中に入ると…
ホア!人!!
びっくりして首グキってなった…
人形か(ホッ…)
この女改之長屋は、関所を通過する女性を調査するための長屋。 かなり詳しく調べられたそうで、身体調査(ほくろや妊娠の有無など)までされたとのこと!
そのため、女性専門の調査役の改女(あらためおんな)と言う役職があったそうです。 改女は、関所勤務の足軽の母や妻が務めていました。二つの家族からひとりづつ、合計二人の改女がいたそうです。そのため、長屋も同じ作りの建物が二つ並んだ構造をしています。
関所敷地内に女改之長屋があるのは新居だけだそうです。
女性の通行に必要だった手形
手形には、出家の有無、既婚か未婚か、何人か、どこからどこへ行くのか、誰の許可か、髪型はどうか等が書かれています。
写真の手形は簡素ですが、場合によっては身体調査の際の情報など事細かに書かれるそうです。
ガイドさんのお話によると、改女さんは実は高給取り。足軽や同心たちと同額のお給料をもらっていたそうです。ですが、女性は関所越えを許される例はかなり稀。勤務数は少なかったのに結構もらってますね〜。
ですが、改女さんのことを調べていると、お給与が高いのは嫌われ役だからと言う気がしてきました。改女は結構嫌われ者だったみたいですね(笑)
不審なことがあれば、髪を解いてまで取調べを行なったそうです。パーソナルスペースを犯してくる改女をよく思えない人は多かったでしょうね。私も、職務だとしても、そんなことされたら嫌だし、人にするのも嫌だ…。
江戸時代の歌人 井上通女(いのうえ つうじょ)さんの日記には、「髪をしつこく掻き立てて調べてきた無作法で気味の悪い女が近くに来てダミ声で何か言ってきて、こんな風にされるのも嫌なのにどういうこと?怖いんですけど!(意訳あり)」というような記述があり、ひどい嫌われよう。 これは給料が高くないとやってられないよな〜。大変な心労が伴う仕事だ。
現在の建物の中は展示室や体験教室のためのスペースになっています。
大御門
この門が建つ前は、新居関所の浮世絵に描かれたような柱の上部に一本の貫(ぬき)を通しただけの簡単な門が建っていましたが、発掘調査で分かった史実に基づいて2015年に新しい門を建て直しました。
当時の関所は周りが柵で囲まれ、この門と船着場以外からは敷地内に入る事ができませんでした。
門は朝6時に開き、夜6時に閉じたそうです。
日が沈むと門は閉じますが、緊急の使者が通る場合に備えて、実は24時間営業だった関所。誰かしらが面番所に詰めていたそうです。
大御門の前は柵に囲われた広場になっていました。
広場には高札場(こうさつじょう)が作られ、高札という木の看板に法令や通達を掲示していたそうです。
新居関所資料館
敷地の一角には新居関所資料館があり、資料を展示しています。
資料は貴重なため、残念ながら撮影はNG。
一階は「街道と関所」や「海の関所新居」など関所を昔の写真や資料、遺物などを通しわかりやすく解説してくれています。
2階では「旅と宿場」をテーマに浮世絵などを展示。
個人的には、脇差しに見せかけたピストルや重箱くらい大きいお弁当箱や、もはや大きめの壺くらいの水筒などが興味深かったです。
資料館の中にはイカす顔はめパネル
VRでタイムスリップ体験
タブレットを使ったVRも楽しめるそうなので、早速借りてみました。
富士山だ
建物内に設置された絵を読み込むことで江戸時代へのタイムスリップの扉を出現させる仕組み。なかなか凝った作りで面白かったのでぜひ受付でタブレットを借りてみてくださいね。
ガイドさんがお話も面白く、テンポよく解説してくださるので歴史に疎くても楽しめました。時間の余裕のある方はぜひガイドさんに解説をお願いしてみるのがおすすめですね。
資料館は昔の面白い道具が展示してあって興味深かったです。 昔の写真が施設の遍歴がわかり、面白かったですね。
明治天皇の東京行幸の際に、新居関所の門が邪魔だと言うことで取り壊されたらしいのですが、その後に作られた門のデザインの遍歴が個人的に面白く(一時期、すごくファンシーな門になっていたりする)楽しむことができました。
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この記事を書いた人
- 猫と一緒に暮らし始め、猫アレルギー疑惑が払拭されました。猫の毛ってすごい空中に舞いますね。ふわふわ。
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