遠州最古の神社「小國神社」
公開日:2017/07/21
「小國神社」正しく読むことができますか?
正式には「國」は濁らず「おくにじんじゃ」と読むそうですよ。
本日は桜や紅葉の名所としても知られる小國神社を調査した結果をご報告致します!
小國神社は、周智郡森町にある遠州最古の神社です。浜松市天竜区との境界にある本宮山の南側の山麓に位置しています。
施設内紹介
歴史ある参道
駐車場を抜けるとまず見えてくるのは、大きな石造りの鳥居。
昭和44(1969)年4月18日に建立された「一の鳥居」です。
明神型とよばれる、両端が上向きに反った作りをしています。
右手に宮川を見ながら参道へと向かいます。
この宮川は本宮山麓より境内を流れる清流で、参道より一本右手にある川沿いの散策路では毎年桜や紅葉が楽しめるそうですよ。
すぐ左に見えてくる手水舎で手と口を清め少し進むと、参道のすぐ右手に木陰道があります。
こちらは、大宝元(701)年の春18日、天皇の使者である勅使が奥に神社へと出向き十二段舞楽を奉奏、以来それが毎年行われたという当時の勅使が歩んだ参道跡。
残念ながら一般参拝者は通行することが出来ませんが、少し先を行くと勅使参向の歌を記した歌碑や、勅使が馬をとめてつないでいたという御神木、駒止めの杉を見ることもできます。
願い叶う?ことまち池と摂末社
参道をさらに進むと、今度は左手に池が見えてきました。
事待池というそう。本社に詣で願掛けをして「事のままに待ち」心願成就すれば池に鯉を放ち神恩感謝の意を表す習わしが由来です。
また、神様のご加護が宿った御神水として池の水を汲み、「いぼ」につけると「いぼ」がとれるという言い伝えから「いぼとり池」とも言われているとか。
木々の間から光が差し込んで、幻想的な雰囲気です。小さな橋が2つかかっており、池の真ん中、さらにその奥へと向かうことができます。
真ん中には小さな祠。宗像社という看板があります。
これは本社とは別に、小國神社境内やその付近にある小さな神社、摂末社。それぞれ別の神様を祀っており、ここ、宗像社は女性の守護神と敬われる、
・田心姫命(たごりひめのみこと)
・田霧姫命(たぎりひめのみこと)
・市杵島姫命(いつきしまひめのみこと)
が祀られているそうです。
さらに橋を渡って奥へ向かうと、こちらにも摂末社の一つ、八王子社がありました。
宗像社よりも一回り大きめの祠です。1月に行われる例祭ではこちらで奉射神事があるそう。
朱色の橋と歴史を感じる祠の佇まい。なんだかノスタルジックな風景です。
小國神社にはこのほかにも9つの摂末社があるそう。摂末社をめぐるお参りも楽しいかもしれません。
池を離れ、参道をさらに進んでいきます。
ご祭神「だいこくさま」にまつわる神話「因幡の白うさぎ」を描いた看板がありました。
赤裸にされたうさぎを助けられた、心のやさしい神さまであることがわかります。
左手には1000年の歴史を見守ったとされる御神木、大杉。
いざ参拝!
ようやく拝殿が見えてきました。
二の鳥居をくぐり、先に進みます。
こちらの鳥居の場所にはかつて楼門があったそうですが、明治15年の火災によって焼失してしまったとのこと。それ以来この二の鳥居が楼門に代わり参拝者を見守っています。
拝殿の右手には祈祷が行われる神徳殿が、左手には神札庫・貴賓室などがある参集殿がつながっています。
建物として大きいので迫力がありますね。 奥には本殿のほか結婚式や祭典が行われる幣殿、奈良時代に神前奉納された宝物が出土した経塚遺跡などがあります。
小國神社のご祭神
小國神社のご祭神は「大己貴命(おおなむちのみこと)」。
国造りの神、農業神、商業神、医療神として知られ、出雲大社をはじめとした多くの神社で祀られている神様です。
一般的には「大国様(だいこくさま)」と呼ばれ親しまれています。
近年では「願い事が意のままに叶う神社」事任神社(ことのままのかみやしろ)としても広く知られ、縁結び、厄除け、心願成就、交通安全の御神徳が高い神様としても崇敬されているそうですよ。
願い事が意のままに叶う…すごい神様ですね。
年末年始には参拝客で近隣の道が渋滞するほどの人気高い神社であることも納得です。
実は小國神社に祀られる大己貴命に関係が深い歴史ある神社に、ハマラボ研究員が調査に行ったことがあるのですがわかりますでしょうか。
それは浜松市中区にある「諏訪神社」。小國神社と同じく、1000年以上の歴史がある格式高い神社です。
諏訪神社には軍神、農耕神、狩猟神である「建御名方命(たけみなかたのみこと)」が祀られているのですが、実はこの建御名方命の父親が、小國神社に祀られる大己貴命。
大己貴命は色々な女神との間に多くの子供をもうけており、子供の数は「古事記」には180柱、「日本書紀」には181柱(!)と書かれているため、そのうちの一人が五社神社の建御名方命なわけですね。
気になった方は諏訪神社も訪れてみると面白いかもしれません。
拝殿を離れ、あたりを見回すと、こんな看板が。
やじるしに沿って社務所の裏手に回ると、ひょうの木(イスノキ)がありました。
木肌のうねりが力強い!
「恋愛」「人間関係」「仕事」など様々な縁を結ぶ御神木として信仰されているそうですよ。
ハマラボも浜松の魅力にもっともっと出会えますように。浜松との縁結びを祈願してまいりました。
小國神社の長い歴史
この大きな木にはもちろん、社殿や参道にも歴史を感じる小國神社。始まりは人皇第29代欽明天皇の御代16(555)年とされています。
中世には武将をはじめ朝野の崇敬が極めて篤く近世に至りました。
その後元亀3(1572)年の戦では、徳川家の戦勝を祈願したのち、社殿を全て焼失してしまいましたが、天平3(1575)年に徳川公が勝利を得て、本殿の造営、拝殿・楼門を再建され、以降代々の徳川将軍家より、社殿の改造・修復料が寄進されてきました。
明治15(1882)年3月に再度の火災により本殿以下建造物などことごとく失いましたが、明治19(1886)年に復興され現在に至るとのこと。
1000年を裕に超える歴史があるのですね。
参道を戻り、駐車場へ。
すぐ近くに御国ことまち横丁という休憩処がありました。お土産なども買えるようですので立ち寄ってみるのもいいかもしれません。
一息ついたところで本日の調査は終了です。
私自身、毎年初詣をしているのですが知らないことばかりで一つ一つに歴史を感じることができとても勉強になりました。
別の神様が祀られているという摂末社についてもぜひ追調査してみたいものです。
由緒や神話を知ってから、ぜひ今一度訪れてみてください。遠州最古の歴史ある神社をより楽しめると思いますよ。
この記事を書いた人
- プライベートは全力、仕事はそつなく、脱力系女子。
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